平成26年決算特別委員会 意見開陳原稿 公明党 辻 薫 10月21日

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 私は、公明党豊島区議団を代表致しまして、平成25年度、一般会計決算並びに、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計決算を認定することに、賛成する立場から意見開陳を致します。

 
 はじめに、円滑公平な運営に努められました正副委員長の労に、感謝を申し上げます。また、理事者の皆様には、資料要求をはじめ、事前調査に快く応じて頂き、私どもの質問に対し、その意を酌まれ、丁寧にご答弁頂きましたことに心から御礼を申し上げます。

 
 さて、平成25年度決算に当たり私ども公明党は、1. 区民の目線に立った行政運営がなされているか。2. 豊島区を取り巻く、時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか。3. 安定的・持続可能な財政運営がなされているか。4. セーフコミュニティ国際認証都市としての安全・安心の取り組みがなされているか、を主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。

 
 平成25年度予算編成時の社会経済情勢は、東日本大震災からの復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつあるものの、世界経済の減速等を背景として、足下の景気は、弱含みの動きを示していました。

 こうした状況のもと編成された平成25年度当初予算の特別会計を含めた財政規模は、1,549億68百万円となり、対前年度比43億69百万円の増、2.9%のプラスとなっており、過去最大の規模となりました。

当予算では、新たな区民要望に可能な限り積極的に応えながら、震災を契機とした防災対策の強化、区民生活にとっての喫緊の課題であり、我が会派としても特に強く要望していた福祉・健康・子育て・教育等の施策の充実に、そしてWHOセーフコミュニティの認証取得をふまえ、施策の集大成としての「安全・安心創造都市」の実現に重点的に取り組むことを目指した予算であったと認識しております。

 そして、平成25年度一般会計の決算額としては、歳入が前年度比0.4%減の1,047億80百万円で、歳出は0.1%増の1,020億75百万円となり、歳入決算額は3年ぶりに減少し、歳出決算額は最近10年間では最も高い額となり、7年連続で増加しております。

  一般会計の決算収支は、形式収支が27億4百万円で、前年度と比べ5億24百万円の減、また、実質収支は繰越明許費・繰越額49百万円を差し引いた26億55百万円で、前年度と比べ6億40百万円の増となりました。

尚、この実質収支額については、24年度決算より、2分の1から全額が基金繰入額となりました。総括質疑では、全額を繰り入れる有効性について伺いました。23年度決算までは、実質収支額の残りの2分の1は翌年度への繰越金という扱いのため、翌年度の補正予算の歳入に計上されない限り、表には現れませんでした。しかし、全額を繰り入れることで透明性も高まり、補正予算の財源とする際「繰越金の計上」よりも「財調基金の取崩し」の方が重みを増し、残高をより確保しやすいことを確認致しました。

 総括質疑では、さらに25年度決算における財政指標ついて、23区における比較を交えながら検証いたしました。実質収支比率は、本区は4.3%で適正範囲内にあるものの23区平均より1.6ポイント低く17位に留まっていました。経常収支比率は、本区は79.8%で24年度決算よりも2.4ポイント改善され、5年ぶりにその適正範囲に収まる結果となりました。23区平均では3.0ポイント下回って、こちらは6番目に良い数値であることがわかりました。財政の弾力性が充分に確保できていると判断される財政体質になってきているということで、評価しているところです。

 今後の見通しについては、扶助費の増が課題であるものの、人件費と公債費が減少傾向にあるので、80%前後で推移するとのことでしたが、これは、あくまでも現在の景気回復基調が続き、一般財源の歳入が維持されることが前提であるので、今後も財政健全化の手綱を緩めることなく、より健全な財政運営に努めるよう要望致します。

  以下、款別ごとに、具体的な提案も含め、特筆すべきことを述べさせて頂きます。

最初に、総務費について申し上げます。

・災害時要援護者対策については、要援護者名簿の配布に先だって、特に要援護者の受け入れ態勢が不十分な町会や地域に対しては、避難支援計画の重要性を周知し、その訓練に取組めるよう支援することを求めます。

・防犯パトロールについては、ひったくりや空き巣等被害多発地域を重点的に行い、また地域の方々からの情報提供がよりスムーズに取得出来る体制を構築願います。

・池袋西口駅前環境浄化パトロールでは、高野区長はじめ、管理職を中心に多くの職員が参加され、区民と一体となって安全安心まちづくりに尽力されていることを高く評価致します。さらに実行あるものとするためにも老朽化した啓発看板の取り換えを要望致します。

 ・危険ドラッグ対策については、ネット販売で全国に広がっているため、本区における危険ドラッグ撲滅の取り組みが、全国の模範となるよう強く期待しております。

 ・集合住宅の町会加入協議については、協議が適正に行われているか、しっかりと監視し、また、その成果について引き続き検証を重ねていただきたい。さらに、加入後の集合住宅住民と地域との連携について促進できるよう検討をお願い致します。

 ・各種窓口での相談等については、単にデータ上の情報のみで判断するのではなく、相談者の立場に立って丁寧な対応をお願い致します。併せて、新庁舎移転後の新しい環境の下で、改めて窓口サービスレベルアップ実態調査を実施するよう要望致します。

 ・新庁舎開設に向けて、新システムの導入に際しては混乱のないように、これまで以上に区民サービスが向上するよう努めることを要望致します。

 ・くらしのガイドについては民間活用による財政的効果は認めますが、広報が区民へ、最新かつ必要な情報を届ける使命があることを再認識して、的確な発行をすることを要望致します。

 ・区功労者表彰については、表彰者の転倒防止策が実行されたことを評価致します。一方で今年度は、運営上に問題がありました。表彰者にとっては、一生に一度の式典であり、今後は準備段階から万全を期すよう強く要望致します。

 ・女性の視点に立った防災対策については、防災会議の女性の占有率を高められたことを評価します。今後は「女性の視点による防災・復興対策検討委員会」がまとめた「検討結果報告書」を生かした防災訓練となるよう、期待致します。

 次に、福祉費についてです。

・待機児童対策については、平成25年に策定された「待機児童対策緊急プラン」の実施状況を確認しました。2年間で増やす予定であった約420名分の受け入れ枠のうち、約87%を1年間で用意出来たと伺い、当局の取り組みを高く評価致します。また、待機児童解消に係る先の我が党西山議員の一般質問に対して区は「遅くても平成29年度当初までに待機児童数をゼロにする方針であり、今後2年半で約1,000人の保育施設の受け入れ枠を作っていく。そのため、認可保育所を10園ほど、小規模保育所を18園ほど誘致することになる。」とご答弁頂きました、本委員会では、改めてその可能性について触れ、充分実現の可能性があることを確認致しました。

 ・一方、来年度から始まる子ども・子育て支援新制度に関連して、国の示した公定価格のみでは、区からの小規模保育事業者などへの補助金が下回ってしまうことから、豊島区の状況と考え方を確認しました。区からは、区の公定価格に上乗せしていく方向性が示されました。また、新制度に伴い、保育料の値上げへの保護者の懸念に対して、保育料の算定方法が変わるがこれまでの水準を維持していく方向で検討しているとの見解が示されました。

 ・新たな特別養護老人ホーム2ヶ所の完成が間近になり、関係当局のこれまでのご努力に敬意を評します。地域包括ケアシステムの一番基本となるすまいについては、住み慣れた処で尊厳をもちながら最後まで生活できるような取り組みとして、今後、24時間定期巡回サービスや随時訪問サービスの推進と合わせて、サービス付き高齢者住宅の整備を要望します。

 ・身元不明の認知症患者対策は、現状、本区において対象者はいないとのことですが、高齢社会にあって、今後、警察との連携等万全を期して頂きたい。また、見守り体制の構築についても、あらゆる情報が集約できるよう努めて頂くことを要望致します。

 ・保護司会活動の拠点となる「更生保護サポートセンター」の開設へ向けて着実な推進を望みます。また、未成年の保護観察対象者の就労支援として、区の臨時職員への雇用を要望致します。

 ・高齢者緊急通報システムについては、いまだにシステム内容を正しく理解されていない方が多い状況です。特に、安否確認センサーについては、利用者の動作、体調などの状況により、通報までに最大48時間を要する場合があることを周知徹底願います。また、担当課並びに委託事業者には、システム機器ではなく、人の命を扱っていることを深く認識するよう強く要望致します。

 次に、衛生費です。

・子宮頸がん予防ワクチン接種助成経費については、予防接種勧奨を差し控えたことにより前年度に比べ大幅に減少しておりますが、全国では、依然として年間3500名もの若い女性が子宮頸がんで命を落とされています。ワクチンがありながら安全性を疑うあまり、接種を控えるかどうかという判断を今は区民一人ひとりに委ねる以外ないという現実ですが、区としては引き続き懸命な対応をお願い致します。

・がん対策の推進として導入された、子宮頸がんHPV検診の受診率向上の為の勧奨と胃がんリスク検診におけるピロリ菌検査及びABC検査の対象年齢の拡充を望みます。

 ・豊島区歯と口腔の健康づくり推進条例については、施行年度として各種啓発事業が行われました。平成26年度からの在宅歯科医療相談窓口事業など今後とも歯科医師会との連携の上、区民の歯と口腔の健康づくりを推進するようお願い致します。

 

次に、清掃環境費についてです。

・増加する粗大ごみ回収は、区民サービスの低下を招かないよう十分な体制を要望致します。

・新資源回収事業は、地域ごとの状況を充分理解した事業者による、スムーズな回収を要望致します。

 次に、都市整備費です。

・木密地域不燃化重点プロジェクトについては、今後の対象地域もより身近な場所に相談窓口を設置していただき、気軽に何度も相談が出来るような配慮をお願いします。また従前居住者対策も、住宅課と共にしっかり取り組んでいただき、住み慣れた地域で、これまで以上に快適に住み続けられるような街づくり、商店街や地域貢献施設を入れ込んだ多世代型交流住宅等も積極的に推進されるよう要望致します。

 ・空き家・空き室と入居希望者のミスマッチを解消する方策として「リノベーションまちづくり」が期待されており、居住支援協議会が果たす役割は大きくなると思いますが、「としま居住支援バンク」への登録については、要件を緩和するなど、柔軟に対応されるよう要望致します。

 ・「豊島区建物等の適正管理に関する条例」については、施行後の状況について確認しました。持ち主への声掛けにより、老朽家屋の解体や樹木の繁茂への対応が進展し始めていると感じています。今後とも作成して頂いたパンフレットにより、本条例の周知に取り組むよう要望致します。

 次に、土木費です。

・道路整備については、区民からの相談がもっとも多いことから、さらに迅速に対応できる体制を整備され、また、私道の整備や管理についてもさらに、きめ細かな対応が可能となるよう検討を望みます。

 ・区の緑のシンボルであるソメイヨシノが大雪や台風被害を受けて倒木しました。区民の憩いの場である桜並木の再生を推進することを要望致します。

 次に、文化商工費についてです。

・いつでも・どこでも・だれでもスポーツを通して生き生きと健康に暮らせる環境づくりを望みます。区立スポーツ施設の夜間利用として21時以降の拡大を要望致します。

 ・オリンピック競技であるアーチェリーは豊島区が発祥の地です。2020東京オリンピック・パラリンピック開催に向けてアーチェリー場の整備を要望致します。

 ・被災地応援ツアーとして「猪苗代四季の里」宿泊支援の継続を要望致します。

 ・中小企業対策については、今後ともきめ細かな相談体制を充実するよう求め、創業・起業支援については特に女性起業家の支援についても効果が上がるように努めていただきたく要望致します。

 ・就労支援と雇用対策については、女性、高齢者、障がい者等あらゆる層の人が職を手にすることのできる体制整備に努めて頂きたい。特に若者の就業支援については、常時、相談できる体制を整備すべく、部局を超えた取組みを要望致します。

 ・公衆浴場については、廃業が年々深刻になっております。空白地となった不便地域の高齢者への配慮については、一定の条件のもと近隣の在宅介護支援センター等を活用して、入浴施設の確保も出来るよう施設への交渉をお願い致します。

 次に、教育費です。

・中学生がスキー教室で宿泊した猪苗代町などの、被災地の子どもたちとのスポーツや教育交流などの実施を望みます。

 ・小学生の林間学校については、児童・保護者・地域の声と学校の要望を丁寧に聞いて、歴史的な学習や体験を十分に積める候補地として、日光方面の再検討を要望致します。

 ・より多くの区民が防災訓練を体験し、さまざまな防災情報が得られるよう、学校で開催される運動会に防災の視点を取り入れた運動会の開催を検討するよう要望いたします。

 ・学校ICT環境整備事業については、これからの情報化社会を生きる子ども達のために最新の機器を使用しての学習を行う環境整備として大変重要です。

またこれにより、教員の情報の共有化や有効活用が図れることは重要な施策だと受け止めております。今定例会で「いじめ防止対策推進条例」が施行される運びですが、教員の多忙化解消を図ることにより生徒達と向き合う時間・ゆとりを作ることがとても大事だと思いますので、その効果を期待します。

 ・「いじめ防止対策推進条例」については、いじめ撲滅に向けての大きな推進力となるように取り組みを強化されますようお願い致します。また、いじめに負けずに、それを乗り越えていけるような教育体制を構築されるよう要望致します。

 ・特別支援教育については、区立幼稚園の入園段階の約20%のお子さんが特別支援が必要であることがわかりました。また、区立小・中学校でも、特別な支援要する児童・生徒が、増加傾向にあるとのことでした。保護者にとって、やはり頼りになるのは、区であり、東京都、国といった公的機関です。今後、より一層、人員の措置を含め、区立幼稚園、区立小・中学校の特別支援教育に重点的に取り組むよう強く要望致します。

 ・学校施設を中心とした危機管理については、台風の影響による臨時休校の際、学童クラブ利用者への連絡不足が発生したとから、今後は学校との連携など同様の事態が起こらないよう対策を要望致します。

 ・3特別会計のうち、「介護保険事業会計」について質問しました。介護と医療の連携については、要介護者・患者、またその家族の負担軽減と住み慣れた地域で生涯を過ごせるよう、ネットを活用した情報共有等、介護・看護・医療関係者の更なる連携強化を要望致します。

 

 以上、款別ごとに意見を述べさせて頂きましたが、冒頭に述べました私どもの審査上の4つの指標から申し上げますと、4番目の「セーフコミュニティ国際認証取得都市としての安全・安心の取り組みがなされているか」については、特に、平成25年度に地域区民ひろばを豊島区自治の推進に関する基本条例を改正して、セーフコミュニティの推進拠点として位置づけたことを高く評価するものであります。

 また、1番目の指標である「区民目線にたった行政運営」、2番目の「時代の変化に的確に対応した事業展開」という視点では、増え続ける待機児童の早期解消を図るための「待機児童対策緊急プラン」の10事業を追加計上したこと、また「(仮称)西部地域複合施設」建設事業費の債務負担行為限度額の引き上げなど、急激な社会経済状況の変化に的確に対応するために必要な補正予算を積極的に計上し、その数が7本にも及んだことを高く評価するものです。

  もう一つの指標である「安定的・持続可能な財政運営」については、自治体運営において、財政のさらなる透明化と職員の一層のコスト意識が求められている中、すみやかなる発生主義・複式簿記会計への転換とそれによる財務データの有効活用により、わかりやすく、正確な財政状況の説明を要望するものであります。

 以上、申し述べてまいりましたが、今後とも安定的で持続可能な身の丈に合った財政運営にご努力頂くとともに、一方で、必要とする区民に対して、必要なサービスが的確に提供されますよう、ご尽力頂くことをお願い申し上げ、平成25年度決算における認定に際し、意見開陳と致します。

 ご清聴、ありがとうございました。