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平成24決算特別委員会 意見開陳原稿 公明党 辻 薫 10月25日

私は、公明党豊島区議団を代表致しまして、平成23年度、一般会計決算並びに、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計決算を認定することに、賛成する立場から意見開陳を致します。

最初に、円滑公平な運営に努められました正副委員長の労に、感謝を申し上げます。また、理事者の皆様には、資料要求をはじめ、事前調査に快く応じて頂き、私どもの質問に対し、その意を酌まれ、丁寧にご答弁頂きましたことに心から御礼を申し上げます。
さて、平成23年度決算に当たり私ども公明党は、区から提出されました決算資料、監査委員の意見書などをもとに、1. 区民の目線に立った行政運営がなされているか、2. 時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか、3. 持続可能な財政運営がなされているか、4. 東日本大震災を受けて、安全・安心の取り組みがなされているか、を主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。

平成23年度予算編成時の社会経済情勢は、景気は若干持ち直しつつあったものの、円高・デフレ状態を抱え、先行きも不透明な状態でありました。

こうした状況のもと編成された平成23年度当初予算の総額予算規模は、1,517億7,954万円となり、対前年度比87億4,819万円の増、6.1%のプラスとなり、当初51億円の財源不足が見込まれていましたが、財源対策として、基金の見直し、起債増、さらに財政調整基金から約15億円を繰り入れることによって編成された予算でした。

しかし、予算特別委員会最終日に、東日本大震災が発生したことに象徴されますように、平成23年度は、マグニチュード9.0という巨大地震と、それに連動して引き起こされた福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染の影響を大きく受けることとなりました。豊島区行政も、その検証や対応に追われる日々となり、そのため平成23年度においては、5次にわたる補正予算で、被災地支援、節電対策、耐震補強、放射能対策等の対応が図られました。

当予算は、区民生活にとっての喫緊の課題である、福祉、保健、子育て、教育等の施策の充実に、そしてこれまでの施策の集大成としての「安全・安心創造都市」の実現に取り組んだものと認識しております。高野区政4期目のスタートの年であり、マニフェストに掲げられた「区民の脅威と徹底的に闘い、世界レベルの住みよい町―豊島を目指す」を実現するための施策が実行されました。主な成果としては、平成23年4月に施行した豊島区がん対策推進条例及び豊島区がん対策基本計画に基づくがん予防の普及対策、またセーフコミュニティ認証取得のためのWHO認証センター本審査の受審、総合的な震災対策の推進に向けた基本方針を策定したこと等が挙げられます。

そして、平成23年度一般会計の決算額としては、歳入が前年度比2.6%増の1,021億226万円で、歳出は2.3%増の990億7,692万円となり、歳入は2年ぶりに増加となり、歳出は5年連続で増加しております。
一般会計の決算収支は、実質収支が18億137万円の黒字、単年度収支も2億9,411万円の黒字となりましたが、実質単年度収支は、12億4,021万円の赤字となりました。この実質単年度収支については、20年度、22年度は土地開発公社の長期債務を繰り上げ償還したことにより大幅な実質単年度赤字を計上しましたが、23年度決算においても実質単年度赤字となる傾向が続いていることから、今後も、より計画的で健全な財政運営に努めていく必要があると指摘させて頂きます。

 

以下、款別ごとに、具体的な提案も含め、特筆すべきことを述べさせて頂きます。

総務費について申し上げます。

先ず、いよいよ来月、認証式典とアジア地域会議が開催されます「セーフコミュニティ」についてですが、認証へ向けての初期投資は、区民意識調査によって65%の方が安全・安心なまちを求めていることなどからもその妥当性が確認されました。今後は、最少の経費で最大の効果を上げていくよう、より一層の分野横断的な連携と協働をお願いするとともに、予防活動の効果を測定・評価出来る仕組みづくりに取り組まれるようお願い致します。

「区功労者表彰」については、表彰式でのご高齢受賞者の転倒防止対策の検討とともに、関連して新庁舎完成時に豊島区名誉区民の顕彰コーナーの設置を改めて要望致します。
「窓口レベルアップ事業」では、覆面調査の厳しい評価結果を受けて、特にソフト面の改善に早急に着手するようお願い致します。新庁舎の完成を目指し、全ての窓口業務において、ホスピタリティマインド溢れる対応が出来るよう職員の育成に取り組まれるよう要望致します。
「地域安全対策」については、これまでの自転車並びに青色防犯パトカーによるパトロールの取り組みを高く評価致します。同対策の一つである豊島区安全・安心メールは、区民の安全意識の向上のためにも登録者数の拡大へ向けて、尚一層の取り組みをお願い致します。
「繁華街の安全対策」では、生活安全条例の改正により、池袋駅前の客引き、スカウト対策の向上が図られました。地域住民による環境浄化パトロールには、今後とも警察とともに、区職員の皆様の一体となっての取り組みをお願い致します。

「豊島区の魅力発信策」 については、広報としまの全戸配布や希望者への個別配布の継続やコンビニ、公衆浴場、駅、区民ひろばなど、より身近な場所での配布数の拡充を要望致します。減部された「くらしのガイド」の発行部数の増部を要望するとともに、加えて豊島TV、区長記者会見などあらゆる媒体により安全・安心そして誰もが訪れたい、住み続けたいとなるようなさらなる「魅力ある豊島」の発信をお願い致します。
「被災地自治体職員派遣」については、職員の貴重な体験を本区の防災対策に活かして頂きたい。中でも派遣された栄養士の方が作成した「災害時における栄養・食生活支援活動マニュアル」については、区民が自助として取り組む重要課題として情報提供を要望致します。

「男女共同参画推進事業」については、区民意識調査で女性の5人に一人がなんらかの暴力を受けている実態が明らかになりました。DV被害者の早期救済とともに、以前提案した「あらゆる暴力を無くす宣言」についてもセーフコミュニティの認証に合わせて積極的な取り組みを強く要望致します。

「池袋駅周辺混乱防止対策」と「帰宅困難者対策」では、区外の来街者対策が多いことから国の社会資本整備総合交付金を有効活用するとともに、一時滞在施設の確保について民間の理解と協力を得る取り組みを引き続きお願い致します。また、防災訓練についてですが、今後は、首都直下型地震などの被害を想定した訓練として、名称も被災訓練として、より実践的な訓練としていくよう提案致します。

 

福祉費・衛生費についてです。

最重点施策として掲げたがん対策については、当該年度の条例化に続いて、24年度には、無料健診を拡充したことを高く評価しております。さらに執念を持って無料健診のPRにも取り組んで頂きますようお願い致します。

本区のがん対策推進計画の中の、大きな柱の1つである「がん患者・家族の療養の苦痛の軽減、療養生活の質の向上」に関しては、一般質問でも取り上げましたように、「がん先進医療ローン」の利子補給につきましても、一日も早く実現されますよう要望致します。

「生活保護者への就労支援策」については、受給者が増加傾向にある「稼働年齢層」に対する就労支援が大変に重要であります。ハローワークとの連携を強化し情報収集に努めて、被保護者が早期に自立できるよう、より一層の支援強化を要望致します。

また、生活保護費の不正受給が問題視されていますが、不正受給への対策は大切ですが、真に生活に困っている方への受給が制限されることがないようお願い致します。離職者で就労能力及び就労意欲がありながら、住居を喪失しているかまたは喪失するおそれのある方に対して、住宅手当を支給する「住宅手当緊急特別措置事業」については今後も継続し、就業へつなげる支援として区としても積極的に取り組むよう要望致します。
「東日本大震災被災者支援策」として設置された区内2ヶ所のサロンは、被災者の心のケアとなり憩いの場としてその機能を十分に果たしています。今後も継続した設置を要望致します。

「一人暮らし高齢者等アウトリーチ事業」については、サービスに結びつかない方の緩やかな見守りを目的に行われる新たな見守り訪問事業について、生命を守る取り組みとして関係機関と連携の上、推進されることを要望致します。
「発達障がい者支援事業」については、大正大学における心理相談補助事業の周知徹底とともに、成人期の就労支援の拡充をお願い致します。また、発達障がい者支援については、幼少期の早期発見と対応が欠かせないことから修学前の5歳児検診を改めて要望致します。

「コミュニティソーシャルワーク事業」については、高齢者総合相談センターをはじめ、関係する部所と横断的な取り組みで、区民にとって良い結果が出せるようお願い致します。

「人と動物の共生事業」については、年間20万匹もの犬や猫が殺処分されており、その現実は実に陰惨です。飼い主のマナーと責任は当然のことながら、これ以上猫を増やさないための活動に取り組む推進委員の負担を減らすため、予算の拡充とNPOの立ち上げの支援をお願い致します。

 

清掃環境費についてです

「エコアクション21の認証取得」については、以前から会派で提案してきた省エネ対策が実現出来たことに敬意を表するところです。事業者への徹底と、区役所庁舎の今後の推進、さらに新庁舎での取得を視野に入れた取り組みを要望致します。

「再生エネルギー」太陽光パネルの区立学校の屋上への設置は、学校施設でのCO2削減に貢献し環境教育にもおおいに役立っています。学校改築時での導入とともに、既存校での設置や他の公共施設への導入推進を要望致します。
「高齢者の出前ゴミ収集」については、毎年50件ほど増加しており、今後は、見守りも含めた支援の検討を要望致します。

都市整備費についてです。

先ず、「住宅マスタープラン重点プロジェクト推進事業」については、引き続き空き家の実態調査をお願い致します。また、「空き家・老朽家屋」に対する近隣からの苦情が急増していることから、適正管理に関する条例制定とともに、大規模地震による倒壊や火災の延焼を防ぐことを目的に撤去を促進するための助成制度の導入へ向けての取り組みを要望致します。

「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化」については、136棟の対象建築物の内、耐震診断は全額補助にも関わらず進んでいない実態があることから、事業の周知と相談体制を強化して早期に推進することを要望致します。

また、難航する分譲マンションの耐震化等の課題解消については23年度新規事業として行ったマンション管理士派遣事業に加えて建築士等の専門家を派遣するなど区としてのバックアップをお願い致します
「特定整備路線」の候補区間となった、補助82号線の整備については、地元地域への十分な説明と共に、東上線北池袋駅のあかずの踏み切りの解消を図り、通学、通園など通行者の安全確保を要望致します。上池袋4丁目の財務省印刷局住宅跡地の早期取得と、地域の要望に応えた防災公園等の整備を要望致します。
「大塚駅整備」では計画中のホームドアの早期設置を改めて要望致します。
「区民住宅」については、空き室の価値的な活用と併せて、20年の契約終了が間近に迫っているとこから返還時における入居者支援についての取り組みを要望します。

 

土木費についてです。

区の街路灯については、質疑の中で、現在の水銀灯から省エネタイプに改修することによって、CO2と電気料を50%削減するばかりではなく、長期の維持管理費が大幅に削減出来ることが改めて確認出来ました。また、9月からの電気料金の値上げ対策としても、街路灯の省エネタイプへの改修計画の前倒しを要望致します。

「橋梁の長寿命化計画」については、橋梁健全化調査で、ランクC、Dの西巣鴨橋、空蝉橋、池袋大橋などの改修計画が示されました。この計画を早期に着実に推進するとともに、特に架け替えの必要があると判断されている西巣鴨橋については、架け替え時に、橋げたの高さを低くして歩行者や自転車の通行を容易にし、仮設橋についても設置を検討するよう要望致します。

文化商工費についてです。

(仮称)「西部地域複合施設文化拠点準備事業」については、随時進捗状況の広報を要望致します。関連して、旧平和小学校卒業生からの要望である校歌の石碑の保存をお願い致します。区立熊谷守一美術館など周辺の文化資源との連動については、完成以前より取り組むよう要望致します。また、豊島区文化政策推進プランの見直しにおいては、これまでの文化施策をどう評価するかが課題ですが、文化的活動の活性化を通じて区民が活き活きと快適に暮らし続けることを目的に取り組むことを要望致します。
公明党区議団が提案してきた「被災地支援、特に福島県への復興支援」については、東京都や区の補助支援策を評価すると共に、実際に区議団として視察した「猪苗代四季の里」の経営状況など現地の深刻な声に対して、区民への宿泊費助成制度の継続を要望致します。また、スキー教室の復活などについては保護者への正確な情報提供をお願い致します。

「スポーツ施策の充実」については、だれもが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しめる施設整備の推進とスポーツ文化の確立を目指すよう要望致します。また、中学生のサッカー大会が開催できるグランドの整備や大会運営への助成を要望致します。
教育費についてです。

「がんに関する教育」については、自治体としては全国初の取り組みとして、多くのマスコミでも取り上げられ、自治体からの視察も多く高く評価しているところです。今後は、生徒自身はもとより、家族の検診受診率アップや健康への配慮につながるよう一層の創意工夫をお願い致します。

「学校のいじめ問題」については、誰もが加害者にも被害者にもなる可能性が高いことから、いじめを起こさせない取り組みとしての人権教育の充実を要望致します。また、今後益々激化する社会に出た際に、豊島区の児童・生徒が負けることなく活躍出来ますようご尽力をお願い致します。

「通学路の安全確保」については、改善すべき箇所に対して早急に対策を講じるとともに、対応困難な事例に対しても何らかの代替案の検討を要望致します。また、今回の緊急合同総点検を機に、教育委員会、学校、警察署、道路管理者等が一体となって、スクールゾーンなどの課題について、継続的に見直し・検討されますようお願い致します。

朋有小学校の「インターナショナルセーフスクール」の認証取得への取組みについては、都市型の特徴的な環境のなか校内での児童によるケガの実態調査や学校、保護者、地域町会の協力を得て街歩きによる危険個所のデータ化などにより、ケガや事故への対策に大きな成果が得られました。地域と学校が一体となったこの取り組みを一日も早く全校に拡大出来るよう要望致します。

図書館費については、今年度より第4次の「学校図書館図書整備5か年計画」が始まり、「学校図書館への新聞配備」「学校司書の配置」も財政措置がされたところです。本区でも、一日も早い全校配置で、児童・生徒の生きる力や学力の向上策となるよう期待致します。また、酷暑が続く夏休み期間中、中学校の図書室を開放し、生徒が学習出来れば、節電対策としても有効と考えますので、検討をお願いします

また、公立図書館で「子ども連れでの図書館は利用しにくく、周囲の迷惑を考えるとゆっくりと選べない」といった声に応えるものとして、「あかちゃんタイム」を設定し、開始前のアナウンスやポスターの掲示で、一般利用者の協力を求めて頂くよう要望致します。

「区立幼稚園」については、預かり保育の実施により、入園時に抽選になるほどの盛況になったことを評価致しますが、私立幼稚園で受け入れが難しい課題を抱えた園児が多いことから、職員の配置には充分配慮されることを要望いたします。また、教育委員会としては、学校建て替え時に、合築して、3歳~5歳児の認定子ども園を実施する方向で検討中とのことですが、現在の幼稚園の場所については、0~2歳までの保育園にしていく方向で待機児童の解消に務めることを要望致します。
一方、「歳入」に関しては、収納対策としてのコールセンターやコンビニ収納・クレジット収納などにより、区民にとって支払いがし易くなったことは評価で

きますが、今後、ひとり暮らし高齢者が増える中で、自動引き落としでない方の割合が4割に及ぶことからもさらに賢明な確保策が必要と思われます。また、電算処理のシステム改修により、複数部署に亘る滞納状況が解ることから、滞納に苦しむ区民に対しても適切な支払い相談に応じて、処理していかれるよう要望致します。

 

3特別会計のうち、「介護保険事業会計」については、特養ホーム待機者が千名を越え、在宅でのサービス充実が一層望まれる中で、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業」が本年から本区でも実施されたことは評価致します。今後も 在宅サ-ビスの充実と、サービス付き高齢者向け住宅の整備等、福祉部門と住宅部門の連携による地域密着サ-ビスの充実を要望致します。

 

以上、款別ごとに意見を述べさせて頂きましたが、総括質疑の中では、今後計画されている施設改築・大規模改修費について取り上げさせて頂きました。今後の改築・改修費用は、20年間で1,000億円を超えると予想され、施設が負っている債務ともいうべき課題を改めて認識することとなりまた。

公共施設の老朽化とシティ・マネジメントへの取り組みについては、やがて他の自治体同様に、人口減少時代に突入し、インフラの4重苦と言われる ①人口減少・高齢化による「需要の不足」 ②予算縮小による「資金の不足」 ③老朽化による「負担の増加」 ④高齢化によるインフラの点検・管理の人材不足」という社会環境が生じてまいります。今から抜本的な対策を練り上げなければ将来の負担に耐えられなくなるという可能性もあります。その観点から、いかに公共施設をマネジメントするかということと、地域を「経営する」という発想が重要だと考えます。

そこで、後世への負担を残さないという点では、早期に公共施設の再構築などの構造改革に取り組み、スリムで効率的な行政経営を目指して、今のうちに将来負担比率を減らす取り組みに着手するよう要望致します。

併せて、今後は、区民にもこうした実態を理解してもらうことが極めて重要であり、その取り組みについてもお願い申し上げます。

 

さらに、行財政改革という観点から、財政の透明化、職員の事業に対するコスト意識の向上や他自治体との事業の効率性を比較する上で、新公会計制度とその元になる財務会計システムについてもその取り組みに期待を寄せるものであります。

 

以上、申し述べてまいりましたが、今後とも安定的で持続可能な身の丈に合った財政運営にご努力頂くとともに、一方で、必要とする区民に対して、必要なサービスが的確に提供されますよう、ご尽力頂くことをお願い申し上げ、平成23年度決算における認定に際し、意見開陳と致します。
ご清聴、誠にありがとうございました。