平成22年予算特別委員会  文化商工・教育費( 3月11日)

 s-00522 tujiyosan103

特別支援学級の充実!と学校の図書費充実

○辻薫委員  よろしくお願いいたします。私は教育費、特別支援教育につきましてお伺いしたいと思います。

特別支援教育につきましては、平成18年度から豊成小学校と高南小学校でモデル校としてスタートしたわけでございますけれども、平成19年度から本格スタートして、そして3年が経過いたしました。この度、豊島区の教育ビジョン2010におきましても特別支援教育の検証が行われるということ、また私どもにもこの3年間、保護者の方から大変多くのご意見、ご要望もいただきましたので、今日は一つ一つ確認させていただきたいと思います。
まず、従来の心身障害教育を中心とした特別支援学級の状況につきまして、設置学校や学級数、さらに在籍児童数の推移などをお伺いしたいと思います。

○朝日教育指導課長  特別支援学級の状況でございますが、特別支援教育が本格実施される前の平成18年当時は小学校は8学級、53名の児童が通ってございましたが、来年度は現状のところ9学級、58名が通うというところで、40人前後のところが今、60人近くの子どもたちが通うようになってございます。さらに小学校の通級指導学級、とりわけ情緒障害の学級が大変児童が増えてございまして、平成18年度当時は4学級で36名でございますが、来年度当初は10学級で96名に上る児童が通級する予定になってございます。同じく中学校は18年当時4学級、27名というところが来年度は6学級、36名という状況、さらに千川中学校にございます通級教室も当初11名から来年度は18名ということで、20名に近い状況にかなり増えているという現状でございます。

○辻薫委員  予想はしておりましたけれども、またいろんな取り組みによってそういう方がわかってきたという状況もあったと思います。そこで特別支援学級、通級も含めてでございますけれども、学校の職員体制だとかというのもあわせてお聞きしたいと思います。

○朝日教育指導課長  特別支援学級は1学級につき2名の担任、1学級増えるごとに1名プラスということで東京都の基準に基づいて行ってございます。正規の教員に加えて固定学級で2学級以上のところには特別支援学級指導員という非常勤教員も配置をして、その充実を図っているところでございます。そのほか、通常の学級に関しましては、特別支援教育巡回指導員、チームステップ、そのほか、教育支援員等の配置を進めているところでございます。

○辻薫委員  わかりました。あと今回、養護学校などに、特別支援学校ですか、通われている方につきましては副籍制度のものも設けられましたけれども、改めてこの副籍制度の目的とまた現状、どのような形でこれが利用されているのかということをお聞きしたいと思います。

○朝日教育指導課長  副籍制度による交流及び共同学習ということでございますが、区内に在住しながら都立の特別支援学校に在籍している児童・生徒は地域の子どもたちの交流が途絶えてしまうという課題がございました。そこで、居住する地域の小・中学校に副次的に籍、つまり副籍を置きまして、可能な範囲の交流をしていくということでございます。19年当時からこの副籍制度は約30名の利用がされてございますが、その中でも直接的に子どもたちが行事であるとか学級の授業で交流するという直接交流と、それからお手紙の交換から始めましょうという間接交流というのがございますが、2年前に直接交流が9名だったのが昨年度12名、さらに21名と、直接交流しようという割合がこの3年間で段階的に増えてきているということで、この交流の手ごたえを感じているところでございます。

○辻薫委員  わかりました。非常に大事なところかなと、その地域で大人になっていくにつれ人間関係が逆に特別支援教育によって疎外されてしまうようなことがないためにもいろんな工夫、もちろん直接もあるでしょうし、間接もあると思いますけれども、これはさらに進めていただきたいと感じているわけでございます。
それと、先程お話がございましたチームステップ、巡回指導員の状況ですけれども、私も学校からの話も聞いたりしているんですけれども、非常に要請も多いと伺っていますけれども、実際は一人一人の生徒への対応だとか先生自体への対応だとか様々あると思いますけれども、その辺はどのようにされているのかお聞きしたいと思います。

○朝日教育指導課長  チームステップは4人の非常勤の職員が各学校を要請によって回るというものでございます。今年度、3月10日まででございますが、個別指導、いわゆる教室から取り出して特別支援教室で個別的な指導をするのが35ケース、学級内支援といって先生と一緒に授業の中でいろいろな支援をしていくのが40ケース、そのほか、発達検査を行ってそのお子さんの特徴を把握しようということで10ケース、計85ケースが今年度対応してございます。ちなみに昨年度の56ケースに比べてこの対応が極めて増えているという状況でございます。

○辻薫委員  確かにやはり3年間で年々いろいろと経ることによって充実されているなと思っております。 そこでまた、平成21年度までに小・中学校の全校に設置するということで予定になっております特別支援教室の整備状況、またこの予算書の309ページに情緒障害等通級指導学級改修事業経費が来年度にもありますけれども、この内容につきましてお聞きしたいと思います。

○朝日教育指導課長  3年計画で進めてまいりました特別支援教室は今年度ですべて改修工事が終わりました。教室の半分ぐらいのスペースで子どもたちがクールダウンをしたりだとか、今言ったようなチームステップが個別指導をするだとか、場合によっては学校内の先生方がそこで対応すると、そういう部屋が空調も含めて全校に整備されたというところでございます。後半の来年度の予算計上につきましては、実は情緒障害等通級指導学級が南池袋小学校、そして千早小学校、そして今年度、朝日小学校と3校に広げてきたんですけれども、千早小学校が30人定員までが改修の限界というところで、今年度ももう30人ぎりぎりというところでございます。ということで、来年度1年設計をして23年度には西部地区に新たな情緒障害等通級指導学級を開設しようということで、これは来年度、都の認可が正式におりなくてはスタートしないところですけれども、そうした準備を進めていこうというところでございます。

○辻薫委員  今お聞きしましたけれども、やはり特別支援教育を必要とされる児童・生徒の方が増えてきているという中でございますけれども、この特別支援学級に通わせている保護者の方からのお話なんですけれども、学校が通学区域外、またそこは踏切を渡らなければならないというところなもんですから大変危険であるという声がございました。また、普通級の保護者の方からは、先生を見ていて負担が大きいのではないかということで、また手が打たれていないという声もございまして、こうした状況というのは把握されていますでしょうか。

○朝日教育指導課長  各学校がいろいろな苦慮をしているという点は聞いてございます。それはチームステップの要請数が非常に増えていること、またそれの待機も、若干待っていただくという現状からも把握しているところでございます。ただ、そうした人的支援のみならず学校の努力も校内支援体制をやってくださっておりますので、その両方が機能していくように鋭意努力をしているところでございます。

○辻薫委員  わかりました。それと、特別支援を必要とする発達障害等を持つ児童・生徒ですけれども、私たちはいろいろ会派でも勉強していく中で、早く発見して適切な指導をしていけば大きく改善されると思っております。しかしながら、特別支援というこの名称からしてほかと違ったという先入観というか、これがなかなか保護者への理解が進まないというのが現状だと思います。結果的に学校現場でやはり児童・生徒、保護者に限らず教職員の皆さんも苦慮されているということがあると思いますけれども、私たちは一般的にこの発達障害というものが区民の皆様に理解されるようにやはりセミナーの開催というものを要望させていただきまして、実は今晩も都の発達障害者支援センターの柏木先生が生活産業プラザで講演していただけるということで伺っておりまして、私たちなりにそういった意味での発達障害に対する理解を深めていこうと思っておりますけれども、この教育委員会としての取り組みとしてはいかがでしょうか。

○朝日教育指導課長  障害のある児童・生徒の保護者だけではなくて、障害のない児童・生徒、すべての保護者が発達障害に対する正しい理解とそれに対する対応を学ぶ必要は十分重要性があると思ってございます。今お話しいただきましたセミナーにつきましては、障害者福祉課と子育て支援課と教育員会の共催という形でさせていただいておりまして、今回、成人の発達障害を学ぶということで、中学校に周知をさせていただいております。これは教育委員会だけではなかなか進まないところもありますので、関係各課と協力しながらさらに充実させていきたいと考えてございます。

○辻薫委員  この質問のまとめにさせていただきますけれども、やはり本区におけるこれまでの先駆的な取り組みというものは高く評価させていただきたいと思います。そこで、今後の見直しの中で取り組みの提案なんですけれども、やはり時代は特別支援は当たり前という時代になったと思っております。小・中学校全校でこうした情緒障害等通級指導学級を開設して、名称も特別支援ということではなくて、これはもう個性を生かすという意味からも個別支援学級という名前でもいいのではないかと私は思っております。そういった意味では、今後の取り組み、ご所見を伺ってこの質問を終わらせていただきます。

○三田教育長  私どもの3年間に及ぶ努力につきましていろいろとご評価いただいて、大変感謝申し上げたいと思います。しかし、委員がご指摘のとおり、学校現場はこれらの導入に伴って様々な矛盾や問題、苦労を抱えての3年間だったと私どもはとらえてございます。しかしながら、子どもにとってはまさにノーマライゼーション、一緒になって育っていく場でなくてはいけないと私どもも考えてございます。そういう意味で、特別支援教室を増やしていく課題とか副籍等の内容を充実させていく課題とか、あるいは就学相談や就学診断、健康診断も含めてそうした保護者にご理解いただいて、本当に早期のうちから適切な適応できるような体制をとっていく課題とか、本当に理解と協力なしには進められないと考えてございます。したがいまして、学級の名称も含めて、これは文科省や東京都が言っているので私どもだけ独自というわけにはいきませんが、いろんな配慮をしながら、そうした協働で一緒にできるような仕事、あるいは課題ということをはっきりとビジョンの中でも具体化しながら進めてまいりたいと考えてございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○辻薫委員  ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 

更なる学校の図書費充実を図れ

 

質問を変えまして、次に、やはり教育費ですけれども、学校の図書費につきましてお伺いします。昨年の予算特別委員会におきまして、我が会派の高橋委員が、本区における学校図書充実経費が23区中、小学校で最下位、中学校でも20位であるということを受けて、立派な中央図書館であり、また図書館サミットを行った区としては本末転倒だと雄たけびを上げまして、お蔭様でこの平成22年度は大分拡充され、教育委員会の重点施策ということに取り上げていただきまして、そういった意味で改めて小・中学校の拡充額とともに、学校図書充実経費が23区中何位になったのか、これを聞きたいと思います。

○鈴木学校運営課長  委員ご指摘のとおり、昨年の予算委員会でご指摘を受けまして予算化に至った経緯がございます。22年度の予算額ですが、1校当たりということでご紹介をさせていただきますと、小学校で1校当たり100万円、中学校で1校当たり120万円という額を予算づけすることができました。ちなみに昨年は1校当たり小学校で38万円、中学校で57万円ということですので、大幅な増額と感じております。ただいまご質問いただきました23区内での比較ということでございますけれども、昨年の順位につきましては委員がおっしゃったとおりでございまして、22年度につきましては、今回予算案ということで23区に調査をかけたところでございます。1校当たりの経費ということでございますので、学校規模等多少違うと思いますのでご参考ということでご承知おきいただきたいのですけれども、小学校では23区中4位ということでございます。また、中学校では23区中6位ということでございますので、昨年に比べまして順位としては大幅に上に上がったということでございます。この図書の件に関しましては、力強いご支援をいただきましてまことにありがとうございました。

○辻薫委員  大変にありがとうございました。こちらも御礼申し上げるしかないんですけれども、この図書費につきましては、やはり学校図書の充実を国においても私どもは訴え続けてまいりまして、地方交付税に盛り込まれる学校図書費の図書購入費というのは2007年から毎年200億円となっていまして、それまでより年間70億円プラスされていたわけです。しかしながら、予算化するというのは地方自治体の判断ということでございますので、今後も、財政難の厳しい世の中だからこそ、やはり将来豊島区を背負って立つという児童・生徒に対しまして心の栄養というものは削ることのないようにぜひ引き続きお願いしたいと思います。
それで、もう一つ、平成22年度は国民読書年ということで国も掲げております。今日は概略で結構なんですが、豊島区の子ども読書活動推進計画にもございますが、教育委員会としての学校図書関係の取り組み、全体的にございましたらお伺いしたいと思います。

○佐藤教育総務部長  学校図書費につきましては、議会要望、それから財政当局の理解もあってこのような結果になって、本当に心から御礼申し上げたいと考えてございます。学校図書館の充実、あるいは小・中学生の読書活動の充実というのは非常に重要な課題だと考えてございます。これは、やはり本を読むことによって単なる言語能力だけではなくて、思考力、判断力、想像力、そういったものを育む非常に重要な教育内容の一つと考えてございます。読書活動につきましては、国語力向上キット等も開発いたしまして、豊島区の推薦図書の普及に今、努めているところでございますし、教育ビジョンにおきましては、学校図書館の機能強化ということで、将来的な専任の図書館司書のような方、これは個別の配置というのはなかなか難しいので複数の学校で何名かの配置ということを考慮する必要があるかと思っていますが、そういった人的な充実、それから機能的な充実といたしましては学校図書館のデータベース化、電子計算機による貸し出し管理、あるいは履歴管理、そういった図書指導をできるような体制、それから中央図書館等と連携した読み聞かせ、あるいは読書活動の推進事業の構築、こういったことを計画的に進めてまいりたいと考えてございます。

○辻薫委員  ぜひその計画の中で進めていただきたいと思います。 今日は図書館課もいらっしゃるので、あわせて学校図書に対する支援という意味で図書館課のご所見を伺いたいと思います。

○樋口図書館課長心得  子ども読書活動推進計画につきましては今年度改定を予定しておりまして、その中で、学校への支援についても盛り込まれております。学校への貸し出しの冊数も予算化をしてございまして、これまで以上の支援をしていこうと思っております。なお、今年、国民読書年ということでもございまして、図書館におきましても平成21年度と比較しまして購入費の9%増加をしておりまして、23区ではトップレベルでございます。

○辻薫委員  トップということで、ありがとうございます。 私からの質問も本当に最後になりますけれども、やはり子どもが本を好きになるきっかけは様々だと思います。今、朝読書や読み聞かせ、さらに昨年、教育長からも大沢君の話をしていただきましたけれども、やはり自分の興味を持ったことから本に接して、そしてその探求心から本が好きになっていくというケースもございます。いずれにしても、子どもたちが幼児期から本に親しんで、そして充実した人生が送れるよう、豊島区の担い手となるような児童・生徒でございますので、今後とも力を入れていただきたいことを私から要望させていただきまして、質問を終了させていただきます。