平成22年予算特別委員会 補足質疑( 3月12日)
生活保護受給者の就職支援、就労支援の充実を
○辻薫委員 おはようございます。よろしくお願いします。私からは、福祉費で生活保護費について伺います。
生活保護の動向につきましては、既に款別で他の委員の方からも質問がございまして、受給者が1月末現在で5,620世帯、月平均100世帯以上増加しているということで、特徴としては、世界的な不況による雇用状況の悪化ということで、高齢でもない、また傷病でもない20歳とか30歳とかという若者の保護の特徴があるということで伺いました。
そこでまず、こうした事態を受けて、平成22年度では職員も増加されて生活福祉事業が2課体制になるということなんですけれども、これによりどのように改善され、また、執務スペースの問題もございました。この点につきまして伺いたいと思います。
○峰田生活福祉課長 ご指摘のように職員を増員いたしまして、西部の地区に旧西福祉事務所があった要町一の5の1でございますが、課を新設いたします。課としましては、西部地区、ほぼ山手線で分けておりますが、こちらに保護係を3係、池袋西口と要町中心と長崎、南長崎地区を中心に設置いたします。職員体制的には、課長以下係長が5人、一般職員が30人、経験者の再任用職員2人、あと人材派遣、臨時職員等は現生活福祉課との配分を今調整中でございます。
このように新設いたしまして地域に近くなりますので、より訪問も、例えば庁舎から南長崎六丁目とかに行くのは非常に遠うございまして電車等で行っている状況ですが、今度は自転車で行くようになりますので少しでも訪問回数が増えて、被保護者、保護を受けている方の実態把握がよりしやすくなるということで、まだまだ数は十分とは言えませんが、精一杯増員をいたしましたし、今年よりは自立に向けて、もちろんこちらの生活福祉課も、東地区もそうですけれども、体制が整いつつあると考えております。
○辻薫委員 スペースの問題も聞きたかったんですけれども、利用者にとっては非常に便利ということなんですが、職員にとってのスペース問題はどうなんでしょうか。
○峰田生活福祉課長 現行の生活福祉課ですが、先程お話ししたように、保護の3係分が向こうに移行するわけですが、分離しております2階の自立支援担当係が机でいうと6つおりてきまして、あと、それほどは広くなりませんが、今よりは多少改善いたします。
西部地区でございますが、西部地区に関しては、中央保健センターの係が入っておりますのと、あと包括支援センター、フロンティアが入っておりますので、営業時間が違うこともありまして、パーテーションをしなければいけないのと逃げ道をつくらなければいけないので予想よりは狭うございますが、会議室、地下等ありますので、有効利用いたしまして、快適とは言えませんが、何とかぎりぎり確保されているものと考えております。
○辻薫委員 わかりました。 それと2課体制とともに、路上対策担当係というのが新設されましたけれども、路上対策強化のための業務の一元化ということで効率よくやっていくということなんですけれども、そのねらいと想定される効果につきましてお聞きしたいと思います。
○峰田生活福祉課長 現実的には路上対策係なんですけれども、名称的には、中央というか、生活福祉課の本庁の保護第1係という名称にいたしたいと思っています。体制的には、係長1人、一般職員10名、いわゆるケースワーカー、再任用職員1人、これも経験者でございますが、この体制で、今までは現状48人ケースワーカーが在籍しているんですが、路上生活者に対してはローテーションで48通り回しております。ですから今度は専任で10名が当たりますので、場数も増えて、より蓄積されると。
それと関係機関との、例えば宿泊所だとか病院等々の顔ができるといいますか、つながりもより強くなりまして、生活保護の路上対策だけじゃなくて、保護外、生活保護を受けていらっしゃらない、皆様からよく苦情が来る公園とか道路とか高架下にいらっしゃるところに対しても、現状は管理係、いわゆる生活福祉係で担当はそれ専任ではございませんが、1名と係長がやっているという状況でなかなか即時対応ができなかったものが、今度は10名いますので、なるべく迅速に状況把握とか実態を見に行って、苦情に対しても調査もできますし、あと巡回パトロールといいまして、毎月1回警察等と駅周辺とか公園を回っているんですけれども、こちらもこちらの専管といたしますので、連携もとりやすくなると。ですから専門的にやりますので、効果が上がるものと考えております。
○辻薫委員 わかりました。ある程度やはり専門的にやるということの意義があると思いますけれども、先程お話し申しましたが、若年層の増加が目立つということで、やはり自立支援が極めて大事ということで私たちも認識しております。そのために今年度4月から自立支援担当係が新設されて、就労支援とか精神障害者の方の自立支援、さらに資産調査というのも行われているようですけれども、先般、就職支援、就労支援につきましては他でも質問が出ましたので、その他の取り組みといたしまして、精神障害の方の自立を目指す居宅安定化支援員の取り組みと効果につきましてお伺いしたいと思います。
○峰田生活福祉課長 まず、居宅安定化支援員、現行は保健師が1名でございますが、こちらの業務でございますが、精神疾患を持つ保護を受けている方に対しまして、病気に理解がなくて自主的に通院しない方への働きかけというか、通院同行、状況によっては入院を促す、例えば精神科入院者の退院後の地域生活に対する相談支援、訪問等をやっております。また、ケースワーカーは専門家ではございませんので、専門的な立場でケースワーカーへの助言、相談等をやっております。援助例としては、アルコール依存症で近隣の方から苦情のあった被保護者自身への援助ということで、なかなかケースワーカーだけですとうまくいかなかったものが、粘り強い説得で通院につなげたという例がございます。こちらは欠員が1名でございますので、まだまだ、未定でございますが、体制を強化していきたいと思っています。
もう1つ、資産調査員、こちらは主に年金の受給権があるかどうか、60歳等になったときに、本来的にはケースワーカーがやる仕事なんですけれども、受け持ちケースが多いこともあってなかなかできていないという現状がございます。それで社会保険事務所のOBを雇用いたしまして、専門的調査を基に年金の受給権があるかどうかによって、結果的に年金がもらえるようになった方がこの4月から1月まで延べで164件、それで全部返還してもらっているわけじゃないんですけれども、分割とかを含めて効果的には約1,800万円という掘り起こしがございます。
○辻薫委員 1,800万円といえども非常に大事な取り組みかと思います。それに関しては、それは不正受給とは言えないと思いますけれども、今、不正受給も、この間報道にありまして全国で106億円ですか、件数にして1万8,000件ということがございましたけれども、この不正受給に対する取り組みにつきましてどんなことをやっていらっしゃるんでしょうか。
○峰田生活福祉課長 不正受給、生活保護法上でいうと、法第78条でございまして、不正の申請もしくはその他で保護を受けて、要するに申請をしなくて所得隠しとか、また、先程申し上げた年金もございます。勤労収入がほとんどでございますが。こちらは残念ながら豊島区もございます。20年度で18件で1,700万円ほどの数字でございます。
防止策なんですけれども、課税調査というものを実施しております。こちらでは保護を受けている全保護者に対して、税務課にお願いをいたしまして課税状況の電算入力をお願いしております。これと、本人が書いた収入申告書に対して、無収入と書いている方もいますけれども、照合いたしまして見つかるということが多うございます。防止策というか、これはもう事後の調査ですので、例えば若い方は無収入であっても毎月収入申告書をとるという方法に近年というか、最近変えました。例えば65歳以上とかという方は年2回ぐらい、無収入であっても年金収入は書いていただけますけれども。前は働けない方というか、働いていない方、収入のない方は毎月じゃなかったんですけれども、そこのところを強化しております。
○辻薫委員 やはりその取り組みもまた大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 事前にいただいた扶助費別の推移を示す資料によりますと、例年、扶助費の全体の半分を占めるのが医療扶助費ということになっております。全国的にも路上生活者が病状の悪化を放置して重篤な疾患になってしまって救急搬送されて急迫保護ということで高額の医療費、扶助費がかかっているということが1つの要因とされておりますけれども、そうした意味からも本区において、先程の路上生活者をまた路上生活に戻させないという取り組みのことも聞いておりますけれども、人道面からも大切だと思っておりますが、こうした扶助費の削減にもつながる重要な取り組みとして捉えておりますけれども、平成22年度予算の扶助費を見ますと、132億円ということで対前年比16.6%ということなんですが、やはり本区は救うべき人は救うという基本姿勢とともに、一方、こうした対策面で、生活保護というよりも生活支援ということを前面に出した施策をされているということで非常に評価しておりますけれども、こうした平成22年度の生活保護行政全般にわたる区の取り組み、考え方につきましてお聞きして最後にしたいと思います。
○峰田生活福祉課長 委員ご指摘のとおり132億円という予算を組ませてもらっておりますが、おっしゃるとおりとめるわけにはいきませんというか、門前払い、水際作戦がとれませんので、救うべき人は救い、そのかわり増員もございますし、2課体制にいたしましたので、被保護者の自立を本当に助長していくと。先程からお話がありますように、ケースワーカーだけじゃなくて自立支援担当係、就労支援員だけじゃなくて資産調査もしくは就労支援員も1名、年度途中になりますが、増員するつもりでおりますし、より保護者の自立に向けまして職員一丸となって、救うべきものは救い、不正は許さない対応で臨んでいきたいと思っています。
○大門保健福祉部長 課長が今答弁したとおりでございます。基本的には、うちの区で今の制度の範囲内ではできることをしていきたいというのが1点と、それから併せて、やはり昨今の状況からしますと、区でできることというのは限られております。やはり制度的にもろもろ課題がございますし、昨年来の年末年始の生活保護相談、そういった状況を踏まえて、今、東京都、それから区の部長会を中心にしまして国へのどういった要望をしていくかということを取りまとめている最中でございまして、昨年来の生活保護相談も含めた検証結果を出して、現在いろいろ課題がございます。
財政的にも、住所不定者の生活保護費が今、東京都の負担になっておりますけれども、アパートに移行しますと区の負担になるといったこともありますし、また、やはりどうしても家賃の安い周辺区に集中するといった問題もございます。そういったものについての財政措置についても、やはり国に対して要望していこうという整理をしておりますし、東京都も、今年2月には全額国の負担で見るべきだという要望を出しております。今までうちの区は国に対しては全額国庫負担でという要望はしてきませんでしたけれども、こういう状況が今後続くとなるとすれば、やはり区財政を圧迫するのが甚だしいということもありますので、今回は区としては国で全額見るべきだという要望を出したいと考えてございます。
○辻薫委員 ありがとうございました。以上です。