令和 3年予算委員会  3月 4日 議会政経総務費
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SDGs未来都市

○辻薫委員  公明党の辻薫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

最初に、私からは、予算説明書では171ページ、SDGs未来都市推進事業経費について伺います。

SDGsにつきましては、初日の総括質疑で西山委員よりSDGsの推進を重点テーマに掲げた高野区長の令和3年度の区政運営について質問し、高野区長からは、コロナ禍との闘いという厳しい時期にSDGs未来都市に指定された今こそ、ピンチをチャンスにという力強い決意を伺ったところでございます。この言葉を聞いて、私もしっかり頑張っていきたいという決意をしたところでございます。

そこで、まず、昨年の第4回定例会の一般質問で要望させていただきましたSDGsの目標達成に取り組む組織体制と、あわせて、その果たすべき役割をお聞かせください。

○山野邊SDGs未来都市調整担当課長  まず、ご質問の前段の組織体制でございます。令和3年4月からでございますが、現在、職名がSDGs未来都市調整担当課長でございますが、こちらを推進担当課長というように変更いたしまして、さらにモチベーションを上げて推進していくというように変えてございます。

ご質問の体制でございますが、現在、課長を含め2人の兼務というふうになってございますが、4月からは課長1名、係長1名、職員1名、合わせて3名で専属で配置したいというふうに考えてございます。

また、後段の果たすべき役割でございますが、区のSDGsの推進の方向性をしっかりと示していくということを初めといたしまして、区の取組みを発信していく。あるいは区民の皆さんへの普及啓発、それから多様な主体との連携システムを構築していく。また、全庁のSDGsの取組みを分野横断的に調整いたしまして、進捗管理などのマネジメントを行う役割を担っていくというふうに考えてございます。

○辻薫委員  専属3名で分野横断的に力強くやっていただけると伺いました。

次に、自治体SDGsモデル事業には国から補助金が交付されています。この補助金はいつまで、いくら支給されるのかをお聞かせください。また、今年度の補正予算の執行状況もお示しください。

○山野邊SDGs未来都市調整担当課長  まず、一点目の補助金についてでございます。モデル事業自体は今年度を1年目としまして3年間の計画でございますが、国からの補助金は今年度のみということでございます。上限が3,000万円で、来年度に繰り越しはできないというような中身となってございます。なお、昨年の補正予算で計上した額として、全体で4,200万円、そのうち3,000万円が特定財源で、残りの1,200万円は一般財源というような内訳でございます。

次に、今年度の補正予算4,200万円の執行状況でございます。池袋4公園を中心としたモデル事業に450万円、中小規模公園を活用したモデル事業に1,200万円、池袋駅周辺マネジメント組織の連携構築に200万円、後期基本計画へのSDGsの反映に係る調査などに800万円、それから、一番大きいのが、バッジや街路灯、フラッグなどによる啓発事業に1,550万円というような内訳でございます。モデル事業につきましては、予定どおり実施できたことから、ほぼ全額執行する見込みというふうになってございます。

○辻薫委員  新年度から自前で取り組むということになります。

さきの一般質問では、本区における自律的好循環の形成へ向けた制度構築についてもお聞きしました。その代表例として、公園を核にしたまちづくりであり、各公園を中心に組織するエリアマネジメント団体を育成し、公園をめぐるIKEBUSのサポーター企業等との連携を進め、まち全体が自律的に活性化していくための持続可能な仕組みの構築を目指していくとの見解が示されたところでございます。この4つの公園に限らず、自律的好循環を形成するには、私は今後とも公民連携が重要になってくると思います。

そこで、まず、公民連携の現状と今後の方向性についてお示しください。

○安達「わたしらしく、暮らせるまち。」推進室長  豊島区では、平成29年度に民間からの相談、提案を受ける公民連携推進窓口が開設され、企画課、行政経営課と所管をしてまいりましたが、今年度よりFFパートナーシップ協定を初めとした公民連携事業を「わたしらしく、暮らせるまち。」推進室で担当をしております。今年度は公民連携推進窓口を窓口機能、橋渡し機能、調整機能、情報機能、そして人材育成機能の5つの機能に再整理を行いまして、それぞれの機能強化を図ってまいりました。

今後の方向性といたしましては、対外的には公民連携実績を発信し、区の積極的姿勢を周知することによりさらなる連携提案を呼び込むことや、区と民間の一対一の関係性だけではなく、民間における連携構築を図ることを考えております。

また、職員に向けては、区内外の公民連携事例や作成したマニュアルの周知を図るため、eラーニングやメールマガジン、研修の実施及び、現在、公園緑地課と連携実施しております中小規模公園活用プロジェクトのように、庁内各プロジェクトの連携コーディネートといった水平展開を図ることを検討しております。地域の多様な主体とのパートナーシップ構築に向けて展開してまいりたいと考えております。

○辻薫委員  わかりました。

また、としまSDGs都市宣言でも、地域の多様な主体とのパートナーシップによりSDGsを進めることが基本であるとしています。経済、社会、環境の好循環を生み出すためには、区内事業者が率先してSDGsに取り組み、連動させていくことが重要だと思います。

そこで、区は、令和3年度の取組みとして、企業認定制度や金融フレームワークなどによる民間との連携事業の検討を掲げていますが、現在どこまで検討され、また、今後どのように展開していくのかお聞かせください。

○山野邊SDGs未来都市調整担当課長  ご指摘のとおり、SDGs未来都市というものは、行政の取組みだけで実現できるものではございませんので、民間企業の多様な主体が主役となっていただいて、国際的な視点で物を考えていただき、地域主体で行動すると、そういったことによって初めて持続可能なまちを実現できるというふうに考えてございます。これが基本的なSDGs、世界レベルの考え方でございます。このために、今後、区としては、やはり民間企業と連携したSDGs推進体制の構築をしっかり検討して実現していかなければならないというふうに考えているところでございます。ただ、現時点におきましては、横浜市などで新たな動きがございますので、そういった先進事例というものを、今、情報として収集しているというような段階でございます。

ご指摘の企業認定制度、こちらにつきましては、先進的にSDGsに取り組む例えば区内の事業者、こういったものを認定することによって、これがモデルになっていくと。このモデルになっていくことによって、区内の事業者がこれに見習って底上げが図られていくというようなことを目的にしているような事業でございます。

また、もう一つの金融フレームワークということでございます。横浜市がやはり着手し始めているというふうに聞いてございますが、なかなか導入する際の規模感であったり金融機関との連携というところで、まだまだ様々な課題があるということも明らかになってきてございますので、区もそういった状況を勘案しながら慎重に検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

○辻薫委員  もう一つ、7大学の取組みを推進するということになっておりますけども、具体的にどのような取組みを予定しているのかお聞かせください。

○山野邊SDGs未来都市調整担当課長  こちらは昨年11月に、高野区長を初めといたしまして、7大学の学長さん、総長さん全員お揃いになりまして、豊島区と区内大学の地域連携に関する懇談会を開催したところでございます。今年度のテーマといたしましては「SDGsの取組みについて」ということで、全ての総長さん等とご議論をいただいたというところでございます。その中で、各大学の取組みを豊島区が取りまとめて、そして全国に発信するような、そういった仕組みを区として構築することを検討してもらえないかというようなご意見がございました。区といたしましても、区内7大学を初めとして、先ほど申しました企業認定制度など、企業のそういった先進的な取組みを積極的に全国に発信してまいりたいというふうに考えてございますので、今後、どのように情報を集めていって、どんな媒体を使って発信していくのかということについても検討を進めてまいりたいというふうに思います。

○辻薫委員  本区だけではなく、やはり地方へのそういう意味では発信力というところも大事になってくると思います。

また、政府のSDGsアクションプラン2021では、新たな視点として「コロナ禍からの『よりよい復興』と新たな時代への社会変革」を掲げています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、SDGs達成に向けた取組みの遅れが懸念されていますとも指摘されています。その上で、コロナ禍に打ち勝つだけではなく、ポストコロナ時代に向けて、社会全体の行動変容が必要だとして、誰一人取り残さないとの考え方の下、SDGsを重要な指針として臨むことの大切さを訴えたいとも強調しているところでございます。最後に、こうした国の動きを受けて、ウィズコロナ、ポストコロナ時代に向けた区のSDGs推進に向けた方向性についてお聞かせください。

○高野区長  まさにピンチのときこそチャンスが来ると、私自身もずっと区政をお預かりして、そういう体験をしてきた中で、今回もコロナ禍という大変国難とも言うべきこういう状況に立ち至っているわけでありまして、こういう中で、このSDGsの力、これ、本当に豊島区としては、昨年の7月、皆様方の応援をいただいて、そしてSDGsの認証を受けて、これが一つの大きなやはり社会が変わっていく中で、この未来都市へ向けてのいろんな政策が生かされてくるわけでありまして、本当にラッキーとは言いませんけど、こういうような形に取り組めるというのは、これはもう国全体、全世界で取り組むべきことでありますけど、本当に東京の中でも唯一このような認定を受けた限りは、これをどうやってこの社会が変わっていく中でSDGsを生かして、この目標を達成させていくのかということであります。これこそまさに全庁を挙げての、そしてまさに全区民挙げての、この豊島区の取組みが注目されていくのではないかと思っておりまして、これをあらゆる面で、うちだけではなくて社会全体ということでありますので、非常に企業の方々が、うちの取組み等々SDGsの取組みに大変な興味というか理解を示され、連日とは言いませんけど企業からの問合せ等々が非常に多くあり、また、他の自治体からのいろいろな形の中で豊島区がどうやってこのSDGsを取り組んでいるんだというような問合せ等々もたくさんあります。それだけに、まだ緒についたとはいえ、このコロナ禍の中でのこの取組みを本当に明確に出しながら、社会変化、構造の中でもしっかりとこれが生かされるような、これをぜひ豊島区としてはつくり上げてまいりたいと。まさに豊島モデルとして、常に申し上げておりますけど、SDGsの中でもこういう形の中の自治体として取り組んでいるというような大きな目標、今いろいろご質問いただきました。それらを十分に、十分に理解をし、そしてそれを生かしていくように努力をしていかなければいけないと思っております。全て物事、目標を持つということは非常に大切でありますので、こういう状況の中でしっかりと目標達成のために努力をしてまいりたいと思います。

帰宅困難者一時滞在施設・救援センター

○辻薫委員  ありがとうございました。

引き続き、私のほうから、防災危機管理費について伺います。

3月11日で東日本大震災の発生から10年という大きな節目を迎えます。かけがえのない多くの命が失われ、東北地方を中心に未曽有の被害をもたらしました。改めて犠牲となられた全ての方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。そして、今なお約4万2,000人の方々が避難生活をされています。被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

さて、本区におきましては、この5年間、退任された今浦危機管理監を中心に、防災危機管理の施策が着実に実行され、治安対策も含め、安全・安心な豊島区が構築されてきています。高野区長を初め関係者の皆様に深く敬意を表する次第です。

そこで、まず、帰宅困難者への対応について伺います。一時待機場所の整備状況とともに、一時滞在施設の確保状況をお聞かせください。

○星野防災危機管理課長  まず、一時待機場所でございますけれども、こちらは目標となる人数設定はしておりませんけれども、今年度は約1万人収容できる、滞在できるイケ・サンパークがオープンいたしました。

また、一時滞在施設としては、帰宅困難者想定5万3,000人に対して、現在は約2万2,000人分の41%の避難スペースを確保しております。近年ではHareza池袋などが追加されております。

○辻薫委員  こうしたことは池袋周辺エリア安全確保計画に示されておりますけども、計画の実施体制に当たっては、池袋周辺混乱防止対策協議会と連携し、取り組むことになっております。現状をお聞かせいただきたいと思います。

また、今後の帰宅困難者対策訓練の予定がありましたらお聞かせください。

○星野防災危機管理課長  まず、鉄道事業者や百貨店など民間事業者から成る池袋駅周辺混乱防止対策協議会、まずこちらが中心になって帰宅困難者対策に取り組んでいただいております。

次年度においては、帰宅困難者5万3,000人に対して、感染症対策をどのようにとるのか、こうした大きな課題を含めて、訓練内容については協議をしております。

○辻薫委員  ありがとうございます。

次に、関連して、先ほども出ましたけど、防災訓練について伺いたいと思います。

本年度は、感染対策を踏まえて、災害対策要員などを対象とした救援センター訓練が行われ、私も4会場で見学させていただきました。訓練内容は同じであっても、学校施設等の違いから、会場ごとの課題も確認できたように思います。

私は、避難所生活では、女性を初めとした災害弱者の視点を取り入れた避難所運営が必要不可欠なことから、私は災害時に女性の視点から様々な施策を立案、調整して実行できる女性の防災リーダーの育成の必要性を訴え続けてまいりました。令和元年度には女性の防災リーダー育成講座を2期にわたって実施していただきましたが、その実施状況についてお聞かせください。

○星野防災危機管理課長  令和元年度、始まりました女性の防災リーダー講座、受講生約100人でございまして、豊島区の防災の基礎を学んでいただいております。これを踏まえまして、令和2年度においては、継続の受講を希望する70名の方たちに対して、女性の視点を救援センターの運営にどのように生かしていくかというステップアップ講座を実施する予定でございましたけれども、残念ながら中止とさせていただいております。

○辻薫委員  残念ではあったんですけれども、兵庫県では、緊急事態宣言下で実際に集えない中でも研修は可能として、県認定の防災リーダーを対象に、動画によるフォローアップオンライン研修を実施しております。内容的には、講師による講座とともに、昨年実施したコロナ禍での避難所設置、運営訓練の様子をダイジェストで紹介するものです。今なおコロナ禍の収束が見えない中、本区においてもオンラインで女性防災リーダーのフォローアップ研修を実施することを提案いたしますが、ご見解をお聞かせください。

○星野防災危機管理課長  コロナ禍の中で、いつまでも中止というわけにはいきませんので、講師の先生とも相談しながら、ぜひ実現したいと思っております。

○辻薫委員  講座を受けられた女性の防災リーダーが救援センターの運営に関われるよう、救援センター運営調整会議に環境改善委員等の所要のポストを新設する計画がありました。先ほども女性活躍という話が出ましたけども、やはりSDGsのジェンダー平等の視点からも、改めてこの取組み、現状についてお聞かせください。

○星野防災危機管理課長  SDGsのジェンダー平等の視点というのは、避難所の運営においても、避難所の特に意思決定においては、女性の参画というのは非常に重要なことであると認識しております。救援センターの意思決定機関は、地域の皆様から成る運営調整会議というものがございまして、委員長の下に庶務部、福祉部など6つの部で構成をされております。環境改善委員はどこの部に属するというものではなくて、全体の状況を把握しながら委員長をサポートしていくという役割を期待しているところでございます。

今年度も委員の皆様にもご参加いただいた展示型の訓練にも、女性の防災リーダー、受講生、参加していただいておりまして、次年度の地域向けの訓練にも参加していただきたいと思っております。そこで経験を積みながら、地域の皆様、町会の皆様にも環境改善委員という制度、ご理解をいただきたいと考えております。

○辻薫委員  もうともかく女性の視点というのが大事であるということで、我が会派からは何度も強調させていただいている点でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

また、救援センターにおいて、コロナ対策をどれだけ講じても感染リスクを完全に回避することはできないことから、区では、災害時に自宅にとどまる自宅避難、安全な親戚・知人宅に避難する縁故避難など、分散避難の導入を全庁的に議論していると伺いました。最後にその検討状況をお聞きして、私の質問を終了させていただきます。

○星野防災危機管理課長  庁内の会議体、区長がトップである震災対策推進本部において、今まさに分散避難を前提とする防災対策、議論を行っているところです。特に保健福祉部が中心になっている要援護者対策などにおいては、要援護者の方たち、感染症のリスクが高い方たちもいらっしゃいますので、どこに避難するのかということが重要になってきます。もちろん自宅が被災すれば避難所というのは当然ではございますけれども、特に要援護者の方たちも自助対策というのが今まで以上に重要になってくる。例えば家具の転倒防止対策をしたり、自宅にいても備蓄品をどのように届けていくのか、例えば要援護者対策でもそうした課題が出てきております。

今後は、要援護者の個別計画というところで具体的に反映していかなければいけないところですけれども、このように様々な分野で分散避難というのは影響が出てくるところでございます。細部は今後詰めてまいりますけれども、3月1日の広報にも防災のページでこの分散避難というのをわかりやすく掲載をさせていただきましたので、今後もあらゆる手段を使って分散避難というのを周知徹底してまいりたいと思っております。