平成21年 決算委員会福祉・衛生費

2009年10月 9日

 s-00383 (1) s-00416

地域密着型小規模多機能施設を要望

辻薫委員
よろしくお願いいたします。私は高齢者福祉費ということで、地域密着型サービス等の整備事業をお聞きしたいと思います。参考書は157ページ、成果報告書は43ページに掲載されております。
最初に、それに関連しまして全国で一番今問題になっているのは老老介護のことであろうかと思っております。2007年の厚生労働省の国民生活基礎調査によりますと、65歳以上の高齢者が高齢者を介護する、いわゆる老老介護の世帯は5割以上となっていると伺っております。また介護者も、加齢によって体力低下また健康不安ということで、何かと介護に時間がとられて家庭内に閉じこもってしまうことによって社会から孤立してしまうという現象も起きております。さらに最悪の状況は、介護者が要介護者を殺害してしまうという事件もニュースでも報じられているところでございます。
そこで本区としましても、こうした老老介護の世帯に対して、どのような取り組みをされているのか、まずお聞きしたいと思います。

山澤介護保険課長
今ご指摘がございました高齢化が激しく進む中におきまして、この老老介護を含めました介護の問題は大変大きな、また重たい問題と私どもも非常に懸念をし、課題として受け止めているところでございます。
ここにつきましての区の対応といいますか、私どもの考えとしましては、介護保険サービス、そして区の様々な一般施策をまずはご利用をいただくと。ただ、それだけですべてが解決できるとは考えてございません。今、委員のご質問の中にもございましたけれども、こういう老老介護の中で大切なことは、そういう家庭、世帯を地域から孤立させないと言いましょうか、ネットワークをしっかり組んで地域との関連を失わないということが重要かと認識してございます。そういった意味では昨年度、私どもは地域保健福祉計画というのを策定してございますけれども、その中でCSWを含めました新たな地域の支え合いのシステムというのを標榜してございます。このあたりを様々に展開することによりまして、介護疲れとかの問題に正面から取り組んでまいりたいと考えてございます。

辻薫委員
やはり地域の連携というかネットワークというのが大事だろうかと思っております。また、現在1,200万人いらっしゃる75歳以上の高齢者が、団塊の世代が75歳を迎える2025年には約2倍の2,200万人と想定されているところでございます。
そこで、立教大学の高橋紘士教授は、このような老老介護は当たり前となる中で必要なことということで、やはり在宅介護を行いながらその家族の負担をどう支えていくかという地域社会づくりであるとおっしゃっております。そうした具体的な方法としては、小規模多機能施設といった地域密着型サービス施設をきめ細かく整備することが急務であるとも言われているところでございます。
そこで豊島区において、先程も話しました地域密着型サービス施設の整備計画、また整備実績、さらに他区の整備状況も併せてお聞きしたいと思います。

岡安管理調整課長
豊島区の地域密着型の整備状況でございますけれども、地域密着型サービスは6種類ございます。豊島区の場合は5種類の整備計画をしておりまして、夜間対応型が1カ所、小規模多機能が6カ所、それから認証デイサービスが2カ所、それから認証の高齢者グループホームが4カ所、それから小規模特養が1カ所という形で計画しておりまして、現在の整備状況ですけれども、夜間対応型は1カ所、もう19年にできました。それから小規模多機能がやはり19年に1カ所、それからデイサービスが2カ所、もうできております。それからグループホームがやはり19年度に2カ所、それから小規模特養は現在できておりませんといったような状況になってございます。
それから、他区等の状況なのですけれども、23区全体で、例えば小規模多機能型の介護施設ですけれども、非常に整備率が悪くて、全体で20%という状況でございます。ちなみに私どもは17%という状況になっております。それから近隣区ですけれども、全部はあれなので小規模と認証グループホームだけをお答えさせていただきたいのですけれども、板橋区は小規模多機能が17を計画しておりまして、現在できているのは1カ所だけです。それからグループホームについては9カ所の計画で現在は3カ所できております。それから練馬区は、小規模多機能が12カ所を予定しておりまして、現在は3カ所です。それからグループホームが10カ所を計画しておりまして、現在は5カ所といったような状況になってございます。

辻薫委員
なかなか進まないというのが現状だというのはわかりました。その理由なのですけれども、財政上の問題とか、また事業者の問題とか様々あると思いますけれども、その辺はどうなっているのでしょう。

岡安管理調整課長
やはりこの事業が進まない一番最大の理由は、都心部の土地の値段の高さだと思っております。事業主からは、私どもの区にも何度かグループホーム等をやりたいのだということでお話はあるのですけれども、やはりなかなか場所を確保できないということで断念しているのが現状でございます。それともう1つは、介護報酬が2回程、下げられた関係もありまして、経営していくに当たりまして、その報酬ではやっていけないということもありまして、こういった理由でなかなか整備が進んでいかないという状況でございます。
それにつきましては国でも今般、施設整備に当たりましての補助金の額を大幅にアップするなど、そういう対策はとっている最中ですので、これから状況がまた少し変わってくるのかなと思っております。

辻薫委員
そうしますと、本区で今計画しているところで何とか進めていきたいという話も伺っておりますけれども、その状況はいかがでしょうか。

岡安管理調整課長
本区におきましては区有地を活用しまして、なかなか民間の方々が参入できないということもありまして、区有地活用を図っております。今現在、進行しておりますのは、池袋3丁目の区有地を活用しまして8月から工事に入っておりますけれども、ここは認証グループホームと、それから小規模多機能の併設施設でございます。オープンは3月という形で今、現在進行中でございます。
それからもう1カ所は千川二丁目に寄附していただいた土地がございまして、これについては今、説明会を何度か開催しているといった最中で、いつ計画が進んでいくかという見通しがまだ立っていないのですけれども、とりあえずは説明会を何回か今、開催しているといったところでございます。

辻薫委員
わかりました。私も先日、品川区にある地域密着型の多機能ホームを見学してまいりまして、本当に普通の民家のつくりになっていて、1階が小規模多機能型の居宅介護施設なのですけれども、2階が認知症の対応型のグループホームということで、本当に地域に密着しているなと思ったのは、施設から大体800メートルぐらいの方が利用されるということで、当初は何か地域からも大反対があったということで伺いました。では、どう展開していったのかと聞いたら、やはり地域の行事に参加したり、様々な形で地域に協力していくことによって、今では地域の福祉の拠点にもなっていると説明していただいてきました。やはり私は、この小規模多機能型、地域に密着型のホームというのは今後、地域のコミュニケーションの場でもあるのかなと非常に強く感じた次第でございます。そういった意味では、区有地を活用してのこうした施設を一日も早くつくっていただきたいと。いずれ私もお世話になるのではないかなと思いますけれども、そういった意味ではぜひやっていきたいと思います。今後の取り組みについて、最後にお聞きしたいと思います。

岡安管理調整課長
まさしく地域密着サービス、特に小規模多機能につきましては地域住民の方との交流というのが第一の大きな柱になっております。本当にご近所の方が気軽に訪ねてきて、入っている方と交流を図っていくという場所にもなりますので、この施設はぜひ私どももつくっていこうと思っております。特に小規模多機能は6カ所を計画しておりますけれども、先程お話ししましたように、まだ1カ所しかできておりません。もう1カ所はもうじきできると。もう1カ所は今説明会ということで、まだ残り3つありますので各圏域に、ある程度バランスよくこういう施設をつくる必要があるかなと思っていますので、計画を確実に進捗させていくために努力していきたいと考えてございます。