平成21年 決算特別委員会

2009年10月 8日

s-00442 s-00487

ターミナル駅前滞留者対策訓練に取り組め

辻薫委員
次に、総務費のターミナル駅前滞留者対策事業経費についてお伺いいたします。
この事業につきましては、私が平成19年度、第3回定例会で提案させていただきまして、本年1月23日に池袋駅周辺混乱防止対策訓練ということで実施されたところでございます。まず、実施していただいたことに感謝申し上げたいと思います。
そこでまず、改めて今回の訓練の目的と実施状況、さらに執行率が66.4%と低かった理由について、簡単に説明いただきたいと思います。

齋藤危機管理担当課長
ターミナル駅前滞留者対策訓練の実施についてでございます。こちらの今ご案内のとおり、首都直下地震の発生に際して、鉄道が停止したということによりまして、池袋駅周辺には16万5,000人の滞留者と8万5,000人の帰宅困難者が発生すると言われております。今年の1月23日に、今お話しのとおり訓練を実施したわけでございますが、その目的は、先程の首都直下地震によります鉄道の運行停止で発生した池袋周辺の大量の滞留者や負傷者への対応を、実際の訓練を通して体験し、またそれを検証することによりまして、この対策に反映するために実施したものでございます。
特に今年の訓練でございますが、発災から数時間後までの対応訓練を実施しまして、協議会でまとめました初動期の行動ルールの実効性を検証することを目的に実施したものでございます。
さらに、実施の状況でございます。訓練は駅周辺の事業者が初めて連携して行うもので、多くの区民の方にご参加していただきました。訓練内容としましては、ご案内のとおり、事業者への初動対応訓練の他、滞留者への情報提供や誘導、また現地連絡調整時の運営訓練の他、警察、消防との連携の訓練、さらに全国で初めての時差帰宅の訓練なども行いまして、一定の訓練を上げることができたと考えております。
さらに、こちらで執行率のお話がございました。まず、こちらの池袋駅周辺防止対策といいましょうか、ターミナル駅前滞留者対策訓練の実施につきましては、平成20年度の新規事業でございます。当初予算の計上の際には、課題検討の進め方ですとか訓練の企画立案を防災専門のコンサルタントに委託して実施することも考えておりまして、主に委託料に予算計上をしていたというわけでございます。実際に訓練を実施するに当たりましては、協議会で区や事業者と協議をして、その内容を詰めて訓練を立案しましたので、結果的に委託料からの支出は少なくなってきたということでございます。歳出削減の努力と併せてそのような執行率になったということでございます。
なお、当初予算と比較した場合は、87%の執行率とも考えておりまして、予算に見合った協議と訓練ができたと考えております。

辻薫委員
もちろん当日、私も参加させていただきましたけれども、その中で滞留者役で参加された方から、やはりなかなか情報提供が不足していたり、また伝達の不手際ということが上げられまして、もうこれは今回の訓練の目的、項目の1つであった滞留者への対応訓練ということがあるわけですけれども、問題点となったわけですけれども、実際にこの訓練で浮かび上がってきた問題点についてはいかがでしょうか。

齋藤危機管理担当課長
今回の訓練に際しましては、事業者の他に滞留者をなさっていただいた区民の方にもアンケート調査をさせていただきました。情報提供や地震発生後の行動についてアンケート調査をさせていただいております。確かに今おっしゃったように、区民の方は滞留者のアンケートからは時差帰宅訓練の必要性が理解できたことですとか、貴重な体験ができたというご意見もございましたけれども、地震発生時の事業者の呼びかけが聞こえなかったりとか、誘導が不手際だったことによりまして情報不足で不安感を感じたという、そういう情報提供関係のものに多くのご意見をいただき、やはり情報伝達の大切さというのは、伝達が大きな課題として再認識しているわけでございます。その他の課題ということでございますが、問題点としましては、比較的に短期に解決を図れそうなものから長期的なものまで様々ございまして、まず現地連絡調整所の組織化ということですとか、地元商店街や中小事業者との連携、さらに非常時に使用可能な情報通信ツールの確保がございます。
また、午前中の質疑にもありましたが、トイレとかさらに一時待機場所の確保、宿泊場所の確保もこの防災対策には必要なテーマだと思っております。さらに、この対策は区だけで進めるものではございませんでして、事業者との共同でやっているもので、共助というもので一緒にやっているものでございまして、何よりもこれは事業者の当事者意識というのが大切でございまして、その意識の醸成とか、意欲の継続化というものも必要な課題だと思っております。
まだまだ池袋駅周辺困難対策につきましては、緒についたばかりの防災の新しいテーマでもございますので、この他にもいろいろ課題は山積していると考えております。
辻薫委員
そうした課題を受けまして、20年度は東京都との共同事業ということだったんですけれども、今年度は区の独自の事業となるんでしょうか。そういった意味では、21年度の困難防止対策訓練についてはどのように計画されていて、またいつごろ実施されるんでしょうか。

佐藤防災課長
先程の答弁で、防災上の重要な課題であるといったような答弁もさせていただきました。そういった流れを受けまして、私から答弁をさせていただきたいと思いますが、先程危機管理課長から申し述べましたとおり、様々な課題がございましたけれども、実際に訓練で動いてみて、私どもで本当に身を持って思い知らされたというのは情報でございます。これは参加していただいた滞留者役の皆様に対する情報提供ということもございますが、それ以前に、事業間の情報の共有すらままならないといったような、地下空間、それから外の建物の中といったようなことを自由自在に情報を交流をするというのも、なかなか今すぐにはそういったツールがないということがございまして、そこが非常に苦慮をしている部分でもございます。そういったところを1つテーマにする必要があるというふうに考えております。
また、今申し述べましたとおり、昨年度は駅の地下というか駅の中という訓練を中心にしておりましたけれども、ご案内のとおり、池袋には駅の外にたくさん通行をしておられる方々がおられるわけでございまして、そういった方々に対する対応をどうしていくのかといったことも、これはまず緊急課題であろうと考えております。
したがいまして、今年度はまず事業者同士の情報共有をするような、それを何とかできないかといったような訓練をしてまいりたいというふうに思います。また、情報をリアルタイムでやりとりしながら進めていく訓練ということを想定をしてございますし、また駅の中だけでなく、駅の外にも情報の核となるような機能を設けまして、そういったところを活用しながら、屋外を歩いている方にも情報提供できるような、そういったことも含めまして訓練をしてまいりたいと考えてございます。テーマといたしましては、そういったことになろうかと思いますが、時期といたしましては、昨年、非常に寒かったということも踏まえまして、11月24日を目指して、訓練計画を練っているところでございます。

辻薫委員
わかりました。それで今、情報発信の問題についてなんですけれども、この夏、おもしろいインターネットでのアンケートがございまして、大地震が起きたときに、1つだけ持ち出せるとしたら何を持って逃げるかというアンケートだったわけですけれども、結果的には一番多かったのは携帯電話ということでございました。実際に地震に遭った方が携帯電話を何に使ったかというと、やはりワンセグで情報を得ることができた。また、実際には暗いところをライトがわりに使って、本当に足を傷つけずに済んだとかということで、携帯電話というのはあらゆる面で防災グッズとしても大事だということで、もう1つは本来の目的である情報発信ということで、午前中もちょっとお話が出ましたけれども、エリアメールの開発状況なんかは、この辺は情報としてどうなんでしょうか。

佐藤防災課長
エリアメールと申しますのは、皆様もご案内かと思いますが、エヌ・ティー・ティー・ドコモで提供している新しいサービスでございます。地域内にいる方、ドコモの一定の機種を持っている方には、一斉に情報を提供することができるというものでございまして、例えば緊急地震速報などをそういった形で提供するというサービスが既にエヌ・ティー・ティー・ドコモで行っているところでございます。
非常に有用な手段であるというふうに考えておりますけれども、逆に申し上げますと、ドコモにしかないサービスでございまして、いまだ例えば他の大手でございますけれども、auであるとか、そういった会社と共通のシステムにはなってございません。他の会社ではまだサービス提供も始まっていないという状況がございます。
ドコモの中での普及率につきましては、新型機種に切り替えていくということが進んでいるようでございまして、これは上がってきているんだといったことを会社から伺っておりますけれども、まだ、そういうことで申し上げますと、ドコモの一定の機種を持っている方に限られているという状況はいまだあるかと考えてございます。

辻薫委員
そういった意味で、一日も早い開発が望まれるところなんですけれども、私はこのターミナル駅前の滞留者事業の取り組みの中で、一番重要なことだなとも、また当日の訓練もさることながら、池袋駅周辺混乱防止対策協議会がいわゆる池袋ルールを策定したというのが、大きな成果だと思っておりますけれども、改めてちょっと池袋ルールの概要、もう簡単で結構ですので説明いただきますでしょうか。

佐藤防災課長
池袋ルールを昨年度整理したのは、発災から数時間程度、初動期のルールとして整理をしてございます。事業者自身の自助の行動ルール、それから助け合う共助のルール、それから私どもを含めた公助のルールと3つの大きなルールがございます。
自助のルールというのは、事業者は自力で従業員とか学生に対応するということを基本にしてございまして、例えば原則として従業員、学生とかをすぐに帰らせるのでなくてとどまらせると。やむを得ず帰らせる場合には、一斉に帰るのでなくて時差帰宅をするといったことを自助のルールとしてございます。また、共助のルールといたしましては、協議会全体で組織に属していない、いわゆる買い物客であるとかそういった方々に協議会全体として対応しようといった考え方でございまして、例えば現地連絡調整所を設置しまして、情報の共有を図っていこうといったこともございますし、買い物客に対しまして、一斉帰宅を抑制するために呼びかけを行うといったことも定めてございます。また、そういった活動を支援をしてまいりましょうというのが公助の行動ルールということで、そういった情報提供とか情報の整理といったことを行政が行うといったルール化をしているところでございます。

辻薫委員
わかりました。それで、やはり新宿、渋谷と違って、池袋の場合は、ともかくオープンスペースが少ないということで、どうこの滞留者、帰宅困難者を確保していく場所が提供できるかという問題があると思いますけれども、やはり私はせっかくつくったこの池袋ルールということに基づいた訓練を今後とも引き続き続けていくことが重要だろうかというふうに思っていますけれども、区の今後の取り組みについて最後伺いたいと思います。

佐藤防災課長
私どもも今、全く委員と同じ気持ちでおりまして、これは継続的に毎年毎年高めていく必要があると考えております。昨年、訓練を実施する中で、事業所の皆様もこれだけ多くの滞留者の方に1つの企業だけで対応することは、これは不可能であるということを実感していただいております。協議会全体として協力をしていきましょうと。それから、これから毎年こういった検証をするような訓練をしていきましょうといったことについては、全く異論が出されておりません。今後もこの訓練を通じながら、全く未知の分野でもございますので、動きながら訓練を積みながら課題解決に一歩ずつ進んでまいりたいと考えております。