平成31年予算 ⑦ 特別会計  辻発言( 3月12日)

フレイル対策・ポリファーマーシー

○辻薫委員  私は、国民健康保険事業会計のうち、ポリファーマシー事業について伺いたいと思います。既にこの2019年の目玉プロジェクトということで、「高齢社会対策と健康」ということで、フレイル対策センターについて取り上げていただいて、もう1つ大きな目玉として「薬の過剰摂取を防止して健康に!」ということで、このポリファーマシー対策が掲げられているところです。

そこで、このポリファーマシーという言葉、なかなか、まだ聞き慣れないんですけど、この点につきまして、説明をお願いしたいと思います。

○小倉国民健康保険課長  ポリファーマシー対策というものは、どういうものかというところでございますが、高齢者になりますと、加齢に伴いまして、生理的な変化等にもよりまして、若年者よりも副作用、薬の副作用によるリスク、こういったものが高まってまいります。また、複数の疾患を患うことも多くなりまして、多剤服用になりやすいというような傾向がございます。こうした多剤服用の中でも害をなすものをポリファーマシーというふうに呼んでおりまして、薬物の相互作用による体調悪化等の問題につながる状態をポリファーマシーというふうに言っております。

○辻薫委員  確かに前、もう亡くなられましたけど、聖路加病院の日野原院長先生がおっしゃっていたことがありまして、そのときに、私が相談に応じている方の中にも薬と薬の相互作用で手の震えが出る、あるいは食欲が落ちるなど、いろいろなことが起きてくる、でも、自分では何が原因なのかわからないんですと。確かにこういうことが現場で起きているんだろうなという、そういう状況、症状が出るから、さらに薬を飲んでしまうというようなことなのかなというふうに思っています。

そこで、今回、新規事業ということなんですけども、この事業の内容について御説明ください。

○小倉国民健康保険課長  今、御指摘のとおり、厚生労働省におきましても、平成30年5月に厚労省、高齢者の医薬品適正使用指針というものを出しておりまして、私ども医療保険者に対しても、対応を呼びかけているところでございまして、本事業を新規事業ということで立ち上げさせていただいたところではございます。

事業の内容でございますけれども、レセプトデータから、70歳から74歳、いわゆる高齢受給者証をお持ちの国民健康保険の被保険者の方、それと今回70から74歳の生活保護受給者の方、こういった方を対象にいたしまして、そのうち多剤服用の方をレセプトデータから抽出をしまして、その方への服薬情報のお知らせをいたしまして、専門家への相談を促すというような中身になっております。そのことを通じまして、服薬情報、過剰の回避と健康被害の予防を図ろうとするようなものでございまして、この専門家への相談というところですけども、かかりつけの薬剤師のほか、地域保健課が委託するあうる薬局、それから薬剤師会、医師会という形で連携を図っていきたいというところで考えているところでございます。

○辻薫委員  今、70歳から74歳ということで、限定された取組みになりますけど、この点につきましてはどういう狙いがあるんでしょうか。

○小倉国民健康保険課長  まずは後期高齢に移行する前という段階で、まずは70歳から74歳ということで、この効果を見ながら、対象については、さらに拡大をしていくか、もしくは新しいやり方でやっていくかというところは考えているところでございます。

○辻薫委員  で、もう一つ、かかりつけ薬剤師ということなんですけども、確かに、自分が通っているというか、よく薬、処方箋、行くわけですけど、やっぱり何カ所か、内科医であるとか外科医であるとか、また眼科とか様々なところに行くわけです。その時々に処方してくださる薬局が違うということなんですけど、これを例えば1カ所に絞って、処方箋はいろんなところから受けるけども、私はここですよということで、1カ所でやるということは可能なのかどうか。ただ、その連携している、医療機関と連携している薬剤師さんというか、そういうところがあるので、なかなか難しいところもあるのかなと思うんで、その辺につきましてはどうなんでしょうか。

○樫原地域保健課長  処方箋をいただきましたら、薬局については、基本的には、どこへ行っても同じという形になってございまして、いわゆる、昔よく言いました門前薬局というのが、基本的にはあまりないと。ないといいますか、ないことになってございますので、それについては、たとえ近くにあったとしても遠くにあったとしても、処方箋については扱いは同じになります。その方が、できれば同一の薬局、どこの医療機関にかかられて処方箋をもらったとしても、自分がいつも行っているかかりつけの薬局をつくって、そちらに行くというのが最もベストだというふうに言われています。それにつきましては決して難しいことではなく、通常の御自分の生活範囲内の中で対応していただいて結構だと考えてございます。

○辻薫委員  では、相談されたらそのように話をさせていただきます。

私なんかは、やっぱりそういう情報を御本人にお伝えして、ではどうするかというのは、かかりつけ医か何かで相談を受けて、具体的な方法なども聞く状況になると思いますけども、むしろ医療機関のほうにそういう通知を送ったほうがいいのかななんていうふうな素人考えはあるんですけど、いかがでしょうか。

○小倉国民健康保険課長  医師への情報提供というのも大変有効ではございます。医師会とも連携をとっていきたいというふうには考えてございますが、この情報につきましては、個人情報の観点などから、現状では御本人の御了解を得ないで送るということは困難であるというふうには考えておりますし、また、これ多剤服用による健康への影響は、先ほどお話もございましたけれども、あまり知られていないというところもございまして、こういったことのきめ細かい周知が喫緊の課題ということで、本事業の通知によって、被保険者の方御本人がまずこれを見て、ああ、これは、こんなにいっぱい私はもらっているんだとか、そういったところから御自身の薬の処方内容に関心を持っていただくと、そういったような狙いもあるところでございます。

○辻薫委員  ちょっとしつこいようなんですけど、やっぱりそういう通知をもらっても、本人はまたこのお医者のところへ行って、ではこういうお知らせをいただきました、どうにかしてくださいというような相談になるんでしょうか。

○樫原地域保健課長  今、先ほど国保課長が言ったとおり、まず御自分で自覚をしていただくというのが一つなんですね。ただ、それぞれお医者さん、医療機関のほうは、それぞれの疾病について、それぞれ処方しているわけでございますので、ほかのところは見てないと、わからないということもございます。それは、患者になっている、その通知をもらった方自身が直接、実はこういう疾患で、こういう医療機関にかかっている、こういう薬をもらっていますよというのはお話をしていただくのがベストだと思うんですね。それは、やっぱり自ら自覚をしていただいて、ちょっとこういう薬を飲んでいるんだけど、どうでしょうとか、もしくは、何か最近こうこうこういう症状が出ているんですけどというのは、当然、お医者さんのほうにも詳しく訴えていただいて、調整を最終的にはしていただくというのは、やはり、その医師の処方箋の出し方の変化がその処方箋でもらう薬に影響してくると。調整をしていただくというような形に最終的にはつながっていくと思うんです。

ただ、それは、少なくとも御本人が自ら持っていかないと、お医者さんのほうでは、医療機関のほうではわからないというのがございますし、薬局のほうも、複数使い分けている場合については、これも先ほどの話ではないですけども、ほかのところのやつが、お薬手帳を持っていけばいいですけども、持ってない方についてはわからないということになりますので、まずは御自分で自覚をしていただいて、自ら御相談に行っていただくというのがいいかなというふうに考えてございます。

○辻薫委員  そこまで区のほうで考えているんであれば、お知らせするだけではなく、どういうふうに活用するかというか、そういうところまでぜひお知らせをするべきではないかということです。ただ単に一杯飲んでいるなというだけでは御本人はわからないですから、ではそれを医療機関に持っていって相談してくださいとかという、具体的にそういうところをちょっとお知らせすることが大事だと思うんですよ。その点いかがでしょうか。

○小倉国民健康保険課長  今、現在、契約事業者、まだ契約が確定しているわけではございませんけども、契約事業者さんのほうといろいろどんな通知にするのか、そういったことにつきまして、実際に事業の開始を秋ごろを予定してございますので、医師会や薬剤師会さんとも連携をとりながら、どんなようなものがいいのか、どういう連携がいいのかというところを構築していきたいというふうに考えております。

○辻薫委員  せっかくいいことをやるので、ぜひ、よろしくお願いいたします。私は、何といっても区民の健康第一と。薬害になっちゃいけないなということで、多剤投与による薬害を発生させてはいけないなということが第一義ですね。その後に来るものは、やはり医療費の削減になってまいりますし、そういう意味では、最終的には、私は国民健康保険料金の値下げ、ここまでしっかりやっていただきたいというふうに思っております。

そこで、もう一つ、医療費のこの適正化というところで、この間も、これは国民健康保険の運営協議会でもちょっと話が出たということなんですけども、このレセプト点検の財政効果の推移というところで、これを見ますと、豊島区はちょっと悪化しているという、レセプト点検の効果が下がっているというような、ちょっと‥‥。この年度で見ますと、26年度はこのあれですか、23区で6位ですか、効果が。それが27年には11位、28年に18位、29年には20位というようなことになってきています。このちょっと原因につきまして、お聞きしたいと思います。

○小倉国民健康保険課長  大変申しわけございませんというところでございます。現在、調査のほうは今行っている‥‥、2月の運営協の中でも御指摘をいただきまして、調査を行っているところではございますけれども、効果を上げるためには、都の指導検査の際にも、東京都の国民健康保険課のレセプト専門相談指導員という方に点検方法についての相談をさせていただきました。アドバイスをいただきまして、アドバイスに基づき点検方法を見直ししているところでございます。現在、効果も上がってきているんではないかなというふうに思っていまして、来年度のこちら30年度には、きっと上がっているものはお見せできるというふうに考えてございます。

○辻薫委員  そのきっと上がっていることに期待したいと思います。

ちょっとまとめます。やはり、そういう取組みも、医療費の適正化ということで、先ほども申し上げましたけど、今回のこの目玉としている「高齢社会対策と健康」、これの、やっぱり第一弾として挙げている取組みでもありますので、どちらかというと、私が訴えているのは、薬から食への転換ということで、食事でしっかり健康をつくっていくと。一般質問でやりましたけど、しっかり噛んでしっかり食べると。しっかり噛んでしっかり食べるということが基本であるかなというふうに思っていますので、引き続き、健康施策、さらに医療費の削減で取り組んでいただきたいと最後にお願いしまして、質問を終了いたします。ありがとうございました。

○常松保健福祉部長  済みません。御指摘いただきましたとおり、フレイル対策とも非常に連携が、関連が深いのかなというふうに思っております。

以前、委員から一般質問もいただきました三重県の桑名市などの取組みの中でも、このフレイル対策と関連して、地区の薬剤師会さんのほうにも委託をして進めているといったようなことがございます。

今後、先ほど選択的介護の中でお話をさせていただきました31年度の通所型の取組みの中でも、この薬の問題についても切り込んでいきたいなというふうに思っておりまして、いろいろ制約がありますので、すぐにその選択的介護の中で何ができていくかというのはちょっと難しいところはございますけれども、いずれにいたしましても、フレイル対策、そしてポリファーマシーといったようなものは別個のものではないというふうに考えておりますので、連携した取組みを今後進めてまいりたいというふうに存じます。