平成30年決算特別委員会10月11日 公明党辻かおる総括質疑

事業の見える化を図り新たな街づくりを区民へ説明責任をはたす

○辻薫委員  おはようございます。公明党の辻薫でございます。公明党豊島区議団は、決算委員として木下広委員、高橋佳代子委員、副議長の根岸光洋委員、そして私の4名で審査に臨ませていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、区議団を代表して総括質疑をさせていただきます。

決算関係書類のうち、区財政の推移と現状について、何点か伺います。まず、1ページ目にありますけれども、一般会計決算の推移ですが、29年度決算の収支は前年度決算と比べてどうだったのか。また、同ページにあります実質収支は16億円の赤字となったが、そのうち23億円は基金間の振替えを行ったものであり、実際には、財源不足はなかったと言えるとありますが、ちょっとわかりづらい表現なので、内容について、もう少し改めて御説明いただきたいと思います。

○三沢財政課長  29年度決算の収支についてでございます。29年度一般会計の決算につきましては、歳入全体の収入率につきましては95.9%と、前年度決算と比べまして1.4ポイント増となってございます。また、歳出の執行率につきましても93.6%と、こちらも1.0ポイントの増となっているところでございます。

29年度決算では、繰越明許額が前年度より大きかったものの、前年度実質収支額がそれ以上に小さかったこともございまして、先ほどの資料6にございます1ページの表にもちょっと小さく書いてございますが、実質収支及び単年度収支ともに黒字というような結果で終わっております。

ただ、一番最後の実質単年度収支につきましてはマイナスの16億円というふうになっているところでございます。これは28年度と同様にマイナスとなっているところでございますが、こちらの理由について御説明申し上げます。確かにわかりづらいところでございますけれども、1年間の補正予算の財源につきましては、財調基金からその原資を取り崩しております。実質単年度収支につきましては、この取崩し額を単年度収支から差し引くために、どうしても赤字表記となってしまいがちです。ただ、実質単年度収支がこのように赤字表記となってしまいますと、区財政上、何か問題があるのじゃないかといった御心配を与えることになってしまっているとは思っておりますが、ここで、済みません、ちょっと数値として出てきていないんですが、決算を調製しました後の決算剰余金、こちらにつきましては、自治法の規定に基づきまして、次年度当初に全額を財調基金に積むというふうになっていることから、実際には29年度の決算剰余金、具体的には25.8億円ほどございます、昨年度は24.6億円ございましたが、これらを財調基金に積みまして、ここから1年間の補正予算の財源に充てたり、先ほど御質問のあった特定目的基金への計画的な振替えといったことをやっていることから、ここでの表はマイナス16億円となってございますが、後から決算剰余金が付加されるために、財政運営上は問題ないというふうに御理解いただければと思っております。

○辻薫委員  今の答弁の中で、この財調基金から特定目的基金のほうに振替えを行ったと、こういうことによって、赤字ではないというような説明をいただきました。今後とも、この資金需要に備えた結果として受けとめておりますので、ぜひとも引き続き、先を見通して、計画的に行っていただきたいと思います。

次に、今回も決算、毎回ちょっと私も決算で取り上げております、主な財政指標について伺います。監査委員からの豊島区各会計決算審査意見書の中の普通会計の決算分析で、四つの財政指標の概要が示されております。そのうち公債費負担比率と経常収支比率については、いずれも平成27年度以降、上昇傾向にあり、今後注意を要するところであるとのコメントが付されております。先ほどもちょっと触れられておりましたけども、この点についてはどのようにお考えなのか、御見解をお聞かせください。

○三沢財政課長  公債費負担比率でございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、適正とされる3%台は維持しておりますが、平成27年度以降3.2%、3.4%、今回の3.6%と少しずつ上昇傾向にございます。この理由でございますけれども、28年度に複数重なった学校改築事業等によりまして起債額が大幅にふえ、公債費がふえたこと、あるいは、この公債費負担比率を算定する際、分母となる一般財源総額が減少したために比率が上昇したというふうに財政課では捉えてございます。

また、経常収支比率につきましても、平成27年度以降77.4%、77.8%、今回の79.8%と、こちらも徐々に上昇傾向にございます。この理由ですけれども、先ほど述べました公債費がふえていること、また私立保育所に対する扶助費等が大きく増加していることが主な要因であろうと捉えております。いずれにしましても、義務教育施設の計画的な改築でありますとか、待機児童対策はもう区政の最重要課題の一つであるというふうに捉えておりますことから、この先の指標の推移といったものは、もちろん注意いたしますが、事業については、計画的かつ着実に進めていくことが必要だというふうに認識しているところです。

○辻薫委員  今の答弁で、特にこの経常収支比率については、私ども公明党も毎回決算、予算で要望をし続けてきた待機児童ゼロ対策、これをぜひとも早目に達成してほしいということで区長にお話をさせていただきました。そういう意味では、本区の積極的な取組みのあらわれであるというふうな私も理解をしております。あわせて、限られた財源の中で、区民の皆様の行政需要を的確に捉えて、共働き・子育てしやすいまちの日本一に選ばれたということにつきましては、高野区長の強力なリーダーシップのもと、関係理事者の御尽力に対しまして、改めて敬意を表する次第でございます。

また、今の答弁の関連でございますけども、歳入面から確認しておきたいことが1点ございます。この数年間、過去最大の税収の伸びを更新し、貯金と借金のバランスも健全に図られていることは、決算関係資料などから伺えるところでございます。その一方で「としまのお財布」にもあるとおり、今後5年間で多額の投資的経費が見込まれております。税収等が今後とも堅調に推移すれば、こうした経費への対応も大きな心配はないと思われますけれども、法人住民税の一部国税化などの、いわゆる不合理な税制改正の影響によって、本来見込んでいた財源が入らず、今後の財政計画に大幅な修正が求められることが懸念されるところでございます。改めて、この不合理な税制改正の区財政に与える影響と現在の対応状況について、具体的な数値も踏まえまして、説明をお願いしたいと思います。

○三沢財政課長  不合理な税制改正についての御質問でございます。国の資料によりますと、これは、地方創生の推進と税源の偏在是正という名のもとに、先ほど御指摘のあった地方法人課税の一部国税化でありますとか、地方消費税の清算基準の見直し、さらには、ふるさと納税などの不合理な税制改正が行われまして、特別区の財源が一方的に奪われているというような状況がこのところ続いているところでございます。

こうした不合理な税制改正等による特別区全体の影響額ですが、具体的な数字を申し上げますと、現時点では約1,300億円超えです。来年の消費税10%が達成されたときには、23区全部で2,000億円にも迫る大きな財源流出の規模になると見込んでいるところです。これが本区に与える影響額ですけれども、現時点では約40億円、消費税10%段階では55億円の減収というふうに見込んでいるところです。本区だけではなくて、特別区におきましては子育て支援策であるとか超高齢化への対応、災害時に欠かすことのできない社会基盤の整備といった大都市特有の膨大な行政需要を抱えております。こうしたことから、特別区長会では、ことしの7月、国に対して幼児教育無償化に対する要望書のほかに不合理な税制改正等に関する要望書、また8月には追いかけて国の施策及び予算に関する要望書をそれぞれ提出したところです。本区におきましても、特別区長会とこうした連携をしっかり図りながら、今後は適切な起債管理でありますとか、計画的な基金の活用を図ることによって、将来の財政需要にしっかり備えていきたいというふうに考えております。

○辻薫委員  本当に特別区にとっては厳しい状況で、今、具体的に都知事もいろいろと、いろんなところで動きを見るところでございますけれども、やはり必要な行政サービスが滞ることないように、当局の引き続きのしっかりした財政運営をお願いしたいと思います。私自身もこの財源の確保というところとあわせて、今後、款別でも話をさせていただきたいと思いますけども、そういう意味では、抑制していくというような取組みもちょっと必要なのかなというふうには感じているところでございます。

その一方で、これ仮称だと思いますけども、森林環境税が新たに創設されて、来年度から、これも仮称ですけども、森林環境譲与税なるものが自治体に譲与されるというようなことをちょっと聞いております。新たな歳入として期待されるところなんですけども、どの程度のものなのか、内容についてお聞かせください。

○三沢財政課長  森林環境譲与税、まだ現在では仮称ということです。これは平成30年度の税制改正の大綱におきまして、森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)の創設が決められたところでございます。この内容ですが、温室効果ガス排出削減目標の達成でありますとか、災害防止を図るための森林整備に係る地方財源を安定的に確保するという観点から、日本国民一人一人が等しく負担を分かち合って、我が国の森林を支える仕組みとして創設されたものだというふうに説明を受けているところです。

なお、森林環境税(仮称)につきましては、個人住民税の均等割の納税者から国税として、1人年額1,000円を上乗せして市町村が徴収し、国の交付税及び譲与税特別会計というのがあるんですが、そこに納付するというような仕組みになってございます。国に一旦集められましたこれらの税でございますけども、それを市町村や都道府県に客観的な基準に基づいて、譲与というか配分するというふうな説明を受けているところでございます。この譲与、配分される森林環境譲与税(仮称)でございますが、こちらについては来年度から開始されます。なお、森林環境税(仮称)につきましては、譲与税より後、平成36年度から課税する予定だというふうに国からは説明を受けているところです。

なお、この自治体に配分あるいは譲与されます森林環境譲与税(仮称)でございますが、平成31年度から33年度までの間に本区に譲与される想定額としては、1,100万円を想定しているところでございます。

○辻薫委員  これは財源の確保が課題となっている中、来年度から新たな歳入というようなことでちょっとお聞きした次第でございます。29年度決算は、将来のまちづくりに向けて、着実に準備を進めた決算ということで、先ほども特徴づけられたと確認をいたしました。今後、東アジア文化都市2019まちづくり記念事業で、さまざまな投資事業を展開していくと、こういう説明もいただきましたけれども、新規の投資事業を今、実施することの必要性、これを区民にわかりやすく説明して、かつ納得をしていただく必要があるのではないかと考えております。この点については、さきの総務委員会でも木下委員からお話をさせていただいたところでございます。

そこで、まず、この点について、区はどのように考えておられるのか、御見解をお聞かせください。

また、区民の理解を得られるためには、例えば、新公会計制度の導入により、今回、試行的に作成された事業別実績シートというのがございます。事業のこの位置づけから行政サービスの実績とコスト分析、さらには公会計情報から見える課題と今後の取組みまで一目瞭然となっております。今後、ここまでは詳しくはしないとしても、イメージ的にはこうしたものを作成して、事業の見える化を図っていく、こういう必要があろうかというふうに思っています。この点につきましても何とか工夫していただきたいということをお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○澤田企画課長  まず、事業の見える化についてでございます。投資事業の展開につきましては、これまでも「としまのお財布」でございますとか、また東アジア文化都市2019まちづくり記念事業一覧などの資料によりまして、お示しをさせていただいたところでございますが、これらはスケジュールやコストに特化した資料となってございます。御指摘いただきましたように、各事業において、現時点での考え、例えばまちづくり上の位置づけでございますとか、また将来の展望などを整理することは、区民への説明責任を果たす上で重要なことと認識してございます。また、次の世代につくり手の意図や思いを伝えることにもつながりまして、各事業を真のレガシーとしていくためにも非常に肝要かと認識しています。今回、御指摘いただいた点を十分に踏まえまして、また検討させていただきたいと考えてございます。

○高野区長  御質問のまとめとして、私のほうからも一言お答えしたいと思いますが、今回、平成29年度の決算、御審議をいただくわけでありますけど、先ほど吉末会計課長からもお話ししたように、今回の決算は非常に健全で確実な財政運営ということ、そして、さらには社会保障関連経費が大幅に伸びていくというような、そういう懸念もある。さらに今、御質問の中で不合理な税制改正、これは本当に予測していないような、こういうような形の中で、本区にも現時点でも40億円の影響が出るというような形でありまして、これらについては、本当に東京としてやらなきゃならない大きな課題を抱えていながら、国とのこういうような形の、まさに不合理な税制改正がありまして、これも地方創生の推進あるいは税源偏在是正という名のもとに、地方法人税についてこういうような形で攻めてきているわけであります。

昨日も区長会の役員会がございまして、各区も大変これに対する危機感というのは、強く持っておられて、先ほど申したように、国に対していろいろ要望等々を出して行動していますけど、これだけじゃあ、ちょっと生ぬるいんじゃないかというか、そういった危機感がございまして、緊急にこれらについては詰めていこう。さらには、11月には都知事へのヒアリングも予定されておりますし、これも東京都と緊密な連携をとっていかなきゃいけないという、そんな確認もしながら、さらに役員会としては、もうこの問題を最優先でやはり取り組まなきゃいけないんじゃないか、という御意見が圧倒的でございました。

さて、今回の豊島区としては、3つ目には、未来へチャレンジし続ける自治体ということで、将来に向かってというように、この決算の特色、特徴を出しているわけであります。そういう形の中で、先ほど御質問いただいた待機児童ゼロ、これらを含め、また、さらには東アジア文化都市の国内候補に決定ということで、これらも本当に我々が常に将来へ向けてのチャレンジ精神を持って進めていくわけであります。それに加えて、四つの公園とかさまざまな、Hareza池袋とかというような形で、私は、大きくまちが今、動きつつある、まさにチャンスというか、それが来たのではないかという形の中で、今回の29年度の決算を踏まえて、未来へ向けて、こういうような形もしっかり進めていかないといけません。特に福祉、教育、防災あるいは子育て、今おっしゃったような環境問題等も含め、さらには、やはり総合的な高齢者対策ということにもしっかり見据えて進めていく、そういう意味での今回の29年度決算というのは、まさに大きく変わっていく、その大事なこの決算をもとにした形で将来というふうに位置づけておりますので、この決算委員会で十分な御審議を賜りたいと思いますので、よろしくどうぞお願いいたします。

以上です。