平成28年決算特別委員会 公明党総括質疑( 9月27日)辻薫

NHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」

○辻薫委員  公明党の辻でございます。今回の決算特別委員会につきましては、高橋委員が委員長の任を拝命しておりますので、今回は木下幹事長、そして根岸幹事長、この3名で審議に当たっていきたいと思います。
 最初に、恒例で公明党は決算に臨んで勉強会をやっていますけれども、暑いさなか、理事者の皆様にはさまざまな説明をいただきました。改めてこの場をかりまして御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、会派を代表しまして総括質疑をさせていただきます。
 今回は、一般質問で我が会派の中島議員が平成27年年度決算に関して、その特徴や今後の財政運営について質問しておりますので、それに関連してもう少し詳しくお聞きしたいと思います。
 最初に、資料4の決算の特徴の3番目としても掲げられておりますけども、平成27年度は、豊島区が23区で唯一、日本創成会議より消滅可能性都市の指摘を受けたことから、その対策としてとしまF1会議が発足し、新しい発想で組まれた内容が予算化された年でもありました。
 そこで、このような新しい発想に基づく予算の成果についてはどのように見ていらっしゃるのか、その具体的な事業や決算額を含めましてお聞かせいただきたいと思います。

○井上財政課長  27年度予算の予算化につきまして、としまF1会議から積極的に区政に対して意見を言っていただきまして、具体的に事業提案から予算化されていったということは今までになかったことではないかと考えてございます。
 今回11事業が予算化されましたが、これらの決算額は約9,100万円となっております。細かく具体的に一部御紹介させていただきますと、子育てナビゲーターの配置、新庁舎の一室に子育て相談スペースを改装しまして実施した新規事業でございますが、こちらは約1,800万円の決算となってございます。また、女性対象の起業塾や交流会を行うサクラーヌbizでございます。こちら80万円となってございます。また、当初予算では予算化されたわけではございませんが、その11事業とは別でございますけど、補正予算によってゆりかご・としま事業、こちらを実施してございまして、約3,000万円の決算が出ております。
 このように、としまF1会議からの提案の11事業に限らず、次々と女性にやさしいまちづくりとして形になっているということを考えてございまして、今後もさらに施策の展開があるものと考えてございます。

○辻薫委員  今、課長のほうから成果として、女性にやさしいまちづくりということが形になってきたと。今後もそれは展開されるんだろうということで、確かに昨年の決算特別委員会では、公園のトイレの話だとか、また、ことしの予算委員会については、女性にやさしいまちづくりについてさまざまな委員からのお話がございました。そうした点からも、27年度のこの予算に載せた部分が成果となって出てきているんだろうなと私も感じております。
 しかしながら、気になったのが、先日放送されましたNHKスペシャル、「縮小ニッポンの衝撃」という番組でした。100年近い国勢調査史上初めて減少に転じだと。日本の総人口ですけれども、一極集中が進む東京でも五輪開催の2020年に減少に転じると予想されるわけですけれども、23区でも人口減少が将来の財政破綻につながりかねないと対策に動く自治体も出てきたとして豊島区が紹介されたということで、ここにいらっしゃる理事者の方も大分映像に映っておりましたけれども、中でも豊島区の将来予測として、2060年には100億円の財源不足が生じると、このような衝撃的なところもございました。
 何か番組が一方的なというか、余り現状、放映するだけで、対策、豊島区の対策というのはなかなか言われていなかったなという気がします。番組を見た区民の皆さんもちょっと心配をされていると思いますので、できればその番組のねらいというか、どういう内容なのか、また、豊島区としての見解を先にお聞かせいただきたいと思います。

○高田企画課長  9月25日に放送されました「縮小ニッポン」の内容については、やはりネットなどでも絶望の声が相次ぐとか、非常に暗いとか、非常にネガティブなイメージを持ってとらえられたようでございます。ただし、私どものほうに取材に来たときは、消滅可能性都市について取材をしたいということで、私どもの現状、今、辻委員が御指摘いただいたように、現状何もしなければ人口が減り続け、財源も2060年に100億円を超える不足が生じるだろうと。ただし、私どもは高野区長を先頭として女性にやさしいまちづくり、地方との共生など、さまざまな対策をとっていますよという内容の取材をしたんですが、後半の対策の部分がすべてカットされてしまいました。
 翌日、NHKの記者に電話をいたしました。非常に暗いと。その趣旨について問い合わせしましたところ、やはり今回の報道のメインは、これだけ地方が疲弊をしているんだと。特に夕張市、それから雲南市というのが取り上げられましたけれども、これだけ疲弊をしている中で非常に危機感が乏しいと。消滅可能性都市というのも日本創成会議の中で危機感を喚起するためのものだったと思いますし、その中でも豊島区については、23区で唯一危機感を持って取り組んでいらっしゃるということで、NHKも評価をしていました。ただ、その辺が表現されなかったのが非常に残念だと思いますし、私どものほうからも、引き続き、じゃ、どうしたらいいのかという点について、引き続き取材をしていただきたいと申し上げました。

○高野区長  今のことについて広報課長からちょっと感想を述べて、大変ストレスが残った番組になったもんですから、ちょっとお話をさせてください。

○矢作広報課長  大変御心配をおかけして申しわけございません。そもそも取材をやっていく過程で、最初は少子勘案を取り上げたいということで来ました。ただ、だんだん一緒に考えていくうちに、少子化のもともとになっているのが東京への人口の一極集中で、そこで格差が生まれてなかなか結婚できない現状というのもあると。では、地方とどうやって共生していくかというのが大きなテーマになってきて、今回の場合には、1つ問題提起ということで多分あのような番組をつくられたと思いますけれども、問題提起をされた以上は、今後どうしていくかということが重要になっていきます。そのためには、自治体だけの働きでこれを解決するということは非常に難しいというのは、取材の家庭でも記者の、あちらのNHKの記者の皆さんと共通の思いを持っておりますので、やはり国への働きかけもあるでしょうし、いろんなアプローチがもっとあってしかるべきであろうということはお話しさせていただきましたので、今回1つの問題提起をされた。では、その問題に、私たちはどう対応していくのかという考えるきっかけになる番組を引き続き取材していただきたいというのは、私のほうからも記者にアプローチしていきたいと思っております。ただ、余りにちょっと反響が大きかったので、そのあたりについて不安を思われる区民の方が出ることについては、私どももちょっと懸念しているところです。
 以上です。

○高野区長  そういうことでございます。

○辻薫委員  済みません、いろいろと説明いただきまして。本当に見た区民の方は心配されたんだなと思っております。でも、私はもともとこの消滅可能性都市を指摘されたときから、このことはもうわかっていて、本区が取り組んでいるというのがわかっておりましたので、そういう意味では、先駆的に取り組んだことの価値というか、意義というのを改めて番組を通して感じた次第です。
 次に、ここからは、平成27年度決算を踏まえて、今後の財政運営について伺いたいと思います。
 まずは中島議員の一般質問では、今後の投資事業の計画については5年間で969億円を予定しているということでございましたけれども、その内容や財源の見通しにつきましてもう少し詳しくお聞きしたいと思います。

○井上財政課長  今後の5年間の投資事業の概算でございます。969億円となってございまして、その財源の内訳につきましては、一般財源が266億円、特定財源が703億円と想定してございます。特定財源703億円のうち、388億円は特別区債を想定してございます。
 投資の内訳でございますが、大規模なものから学校改築に183億円、造幣局跡地防災公園整備に135億円、新ホール整備75億円、新区民センター、生活産業プラザが65億円、不燃化特区推進事業に58億円となってございます。
 これらの整備事業でございます。多額な起債の発行を計画してございますが、例えば造幣局跡地防災公園整備では、起債の発行の全額が財政調整基金に4年間にわたり算定されることになってございますので、このような制度を最大限活用して、できるだけ一般財源負担のないように計画していきたいと考えてございます。

○辻薫委員  今の答弁の中で、旧庁舎跡地におけます新ホール、そして新区民センターも挙げられておりましたけども、明るい話題として、この文化施設を中心としたまちづくりについて、いま一度その意義とか将来展望につきましてお話を伺いたいと思っております。

○高田企画課長  今後の旧庁舎跡地等の文化施設を中心としたまちづくりについての将来展望ということでございますが、先ほど高野区長から答弁がありましたとおり、2020年のオリンピック・パラリンピックに向け、アート・カルチャー都市の空間戦略として旧庁舎跡地の活用を初めとする副都心の開発が進んでいくわけでございます。これがある程度形になりますと、8つの劇場と4つの公演を中心に、回遊性の高い、人間中心のまちができ上がっていくということがございます。
 今後ハード面では特定都市再生緊急整備地域を活用し、それからソフト面で言えば国家戦略特区等を活用しながら、さまざまな形でこのようなアート・カルチャー都市に向けたまちづくり、そういう形で将来をつくっていくということになると考えております。

○辻薫委員  今、国際アート・カルチャー都市へ向けての実現ということなんですけども、投資事業によって豊島区の価値を高めるという意味では。ある意味では力強く推進していただきたいと思うんですけど、その一方で、やはり969億円と全体的な投資事業を今後5年間で行うという説明なんですけれども、できるだけ一般財源の負担がないようにという説明もありまして、計画的に事業に当たっていくということが言われていましたけれども、やはり投資事業により豊島区の価値が高まるのは今言ったとおりいいことなんですけれども、今後5年間で約1,000億円近い額を投入することについては、やはり今後の財政負担について少々心配するところでございます。この点、将来負担に関しましては、本区の考え方をまたお聞かせいただきたいと思っております。

○井上財政課長  将来負担に関してでございます。今後5年間、投資的経費の概算が969億円と想定しているという御答弁をさせていただいたところでございますが、その中に388億円の起債を見込んでいるというところでございます。
 財政の健全化をはかる数値の1つとして公債費比率がございます。こちら、特別区債の償還額が標準財政規模の何%かに相当するかという数値でございますが、この数値が投資を行っていく上で8%を超えないようにしていきたいと考えてございます。仮に平成27年度決算の標準財政規模を横引きすると、平成33年には9.5%になるものと推測されます。これを8%以内に抑えるには、区債を発行しないか、もしくは標準財政規模を拡大するしかございませんが、標準財政規模は簡単にコントロールできる数値ではございませんので、区債の抑制をしていくしかないのかと考えてございます。例えば、基金等を活用いたしまして、区債の発行を抑制できるかと考えてございます。そのためには、都市計画の策定と同時に起債の計画ですとか、その償還計画、また、基金の管理計画などが必要になってくるかと思います。健全財政に向けて検討できることはすべて検討していきたいと考えてございます。

○辻薫委員  本当にやりくりというのが非常に大事になってくると思いますけども、今やはり課長の答弁があったとおり、将来に備えるためには財政調整基金というのが大変重要になってくると思います。今後の起債残高の抑制のために、この財政調整基金を活用することについては賛成するところでございます。しかしながら、安定的な財政運営の継続のために、この財政調整基金を可能な限り取り崩すことなく温存していくべきという考え方も一方ではあります。この点につきましては、財政運営のバランス感覚といいますか、一番大事なところではないかと思っていますけれども、この点について改めて確認させていただきたいと思っております。

○高野区長  御指摘のとおり財政調整基金は、私はこの基金に対しては嫌というほどというよりかは、今までずっと歩んできた中で一番安定させていく基本になると、そういう思いで来たわけでありまして、再三申し上げるように、平成12年度は4,000万しか財政金がなかったという状況、本当に何かあったらまさに豊島区が財政破綻するというあのときの危機感を忘れないで、このような形の中で、ためては使い、ためてじゃなくて、しっかりした基金が保てるような、そういう財政運営がすべての私は基本ではないかな、そんな思いもしているわけでありまして、まさに景気等に、変動に左右され、どんな形の中でもこれら年度間の財源調整を図るというのが、まさに御指摘のとおり、財政調整基金ではないかと思っているわけであります。
 リーマンショックがございましたとき、あのときもこれからどのような財政運営にしていくかという、あのときの状況を思い起こしますと、特別区民税で約15億円の落ち込みがあり、そして財政調整の交付金が40億円減りましたよね。そして、あわせて55億円の歳入の落ち込みがあったわけでございまして、すべてが財調基金等々を含めて対応したわけではありませんけど、あのときの大きなショックのときにも耐えられるような、そういう意味も含めてやはり財政調整基金をしっかり保つことが大事ではないか。
 今までも、では、どのぐらいためておけばいいかというお話もありました。最低でも120億円ぐらいの調整基金を持っていないと、ほかの23区、いろいろ基金等々の状況を見ますと、120億円というのは下位のほうでありまして、ほかの23区、相当な財政調整基金を持ってやはり安定的な運営をしているということでございますので、そういった面で、今回いろいろな形の中で200億円を超える財調基金が確保できたということは、ある程度これからいろんな形の中で、景気変動の中で収入等々の減とか、あらゆる面にもやはりそれに耐え得るような、まだまだすべてこれで安心かというと、そうでもございませんが、そんな意味も含めて私は、財政調整基金の本来の目的である年度間の財政調整機能は維持をしながらでも基金を活用して、今、財政課長が申し上げたように、起債等々もバランスをとりながら、抑制をしながら、まさに財政運営を進めていく。今後の財政状況の推移を見きわめつつ、起債計画とそれに伴う償還計画、基金計画をしっかりと組み込んだ投資事業を計画をしていかなきゃいけないということであります。これからもいろいろさまざまな大型事業がメジロ押しでありますが、将来をしっかり見据えながら、投資すべきものには思い切って投資をしなきゃいけないし、また、むだとは言いませんけど、余分な投資事業は決して、慎重な上に慎重にして考えて進めていかなきゃいけない、そんな思いもしております。
 本当に今回の決算委員会、これから御審議をいろいろいただきますけど、それらについては、私は先ほどもお話ししたように、よく私はここまで豊島区の財政状況がある程度安定してきたという思いがあります。それだけに、今までのことを十分に踏まえながら、これからも議会とも論議をしながら、将来の豊島区の方向性をしっかりと見定めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

○辻薫委員  もう先にいろいろと区長から答弁いただきまして。本当に将来に、逆に学校だとか、そういう意味では世代間の均衡を保つためには将来に負担していただかなきゃならないこともあると思いますので、その辺のバランスというところでも高野区政、もうその実績というところで評価させていただいておりますので、今後の運営もお願いしたいと思います。
 最後に1点、会計分野のことであるんですけれども、会計課では昨年から会計白書を作成していただいております。用語説明などわかりやすくなっているんですけども、備品の価格基準、先ほどありましたけども、見直しだとか、新たな取り組みも記載されております。さらに、私ども公明党が国において推進してきました新公会計制度による財政の見える化という点では、平成29年度決算から実施されるということで、今現在、これから10月に各種研修も行われると伺っております。
 そこで、新公会計制度導入へ向けて、会計課にとどまらず、全庁挙げて取り組むことにより、職員一人一人の意識改革がされて、一層安定した財政運営、先ほどから言っておりますけれども、結びついていくと考えております。その点について、最後、御見解を伺って私の質問を終了させていただきます。

○佐野会計管理室長(会計課長)  ただいま御指摘ございましたように、来年の4月から新公会計制度による複式簿記の手法が自治体でも、区でも実施されるようになります。公会計制度の導入の眼目は、財政状況の透明性を高めていく、そのために区がどのぐらいの資産を持っているか、どのぐらいの借金があるのか、あるいは行政サービスを提供する上でどのぐらいのコストが個々の事業についてかかっているのか、そうしたことを一つ一つ財務書類で数値として表現できるようになりますので、そうした形で財政を透明化することによりまして、区民の皆さんに対する説明責任をしっかりと果たしていくということが公会計制度の導入の眼目でございます。
 それを見据えながら、昨年度からこの会計白書をつくりましたのは、会計課で現金の収支の状況ですとか、あるいは基金の運用状況、物品の管理状況、そうした区の現金等に関する管理の状況等をしっかりと外に情報開示していくということをこれまで余りされていなかったという実態がございます。公会計制度が導入される前に、こうした区の会計制度をより見える化することによりまして、公会計制度の導入にしっかり結びつけていけるようにという思いでつくったものでございます。
 それで、ただいまの御質問の中にもございましたように、今月以降、しっかりと来年度4月から新たな会計制度による入力等が始まりますので、そのためには職員全員が複式簿記の知識を習得して、意識も高めていかなければいけないということがございますので、研修を今後年度内に3回予定しておりますし、それから説明会等々もやります。それに加えまして、複式簿記の知識を習得するための個々の職員が自主的に通信講座を受講する、あるいは簿記の検定を受講する、そういった自主的に努力する職員のために全額助成する制度も今月から立ち上げたということがございます。そうしたさまざまな取り組みをすることによりまして、来年度4月からの新公会計の導入に着々と準備をしていきたいと考えております。